| | 編集部 子どもの連れ去り事件などを防ぐには、まず親や子ども自身はどうすればいいとお考えですか。 市川さん テレビで事件が報道されたときなどに親子で話題にして、「危険な場所へ行かない」「知らない人についていかない」と話すようにしています。そうすると、子どもも保育園で防犯訓練があったときに話してくれるなど、関心を持ってくれるようです。 伊原さん 私は、去年の春から「スクールガード」というボランティアをしています。信号のところに立って、登下校する子どもたちが安全に横断歩道を渡れるように声をかけるんですが、少しは防犯にも効果があるだろうと思うので、できるだけ毎日立つようにしています。 大藪さん 子どもには、知らない人に連れ去られそうになったら、「助けて」ではなく「火事だ」と言ったほうが近所の人が注目してくれるとか、防犯ブザーは音を出して自分の体から離したほうが効果があると教えています。まわりでも、自分で自分の身を守ることが必要という意識が広がっています。 落合さん 子どもに言っているのは「どんなにいい人だと思ってもあまり仲良くしない」とか、「公園でひとりで遊ばない」といったことです。実は、少し前に学区内の公園で、小学1年生の女の子が若い男の人に体を触られるという事件がありました。友だちを待っている間の出来事で、その子からすると優しいお兄さんとしか思えなかったそうです。 編集部 アドバイザーの今西さん、いかがでしょうか。 今西さん 大人はよく子どもに「知らない人についていかない」「ひとりにならない」といった言葉をかけますが、「ひとりにならない」は不可能なんです。短い距離でもひとりになることはあるので、それを前提に子ども自身ができることを伝えることが必要です。 また「知らない人」というのも、どんな人なのか漠然としていますよね。CAPプログラム(下を参照)では、「今まで会ったことのない人」「見かけたことはあっても話したことのない人」、だから「いい人か悪い人かわからない人」と説明しています。「サングラスをかけて黒い服を着たおじさん」といった思い込みではなく、「ヘンだな」「イヤだな」という自分の感覚を大事にして、もしそう感じたら「とにかく逃げよう」と伝えています。また「イヤな触られ方をしたらイヤと言っていいよ」という話もします。声に出して自己主張すると、被害を小さくとどめられることも多いんです。 親としては、子どものそうした感覚を育てるために、日ごろから子どもの感情を認め、子どもがそれを言葉にできるようなかかわり方をすることが大切です。防犯の話をするときも、ただ「怖いよ」と脅かすのではなく、子どもが勇気や自信を持てるように、子ども自身の考えを引き出しながら話せるといいですね。 | | | | |