あのねっと 今号の特集テーマ 絵本のあるくらし  

ライト・ジェイソンさん
Wright Jason
カナダのブリティッシュコロンビア州プリンスジョージ市出身。会社員、35歳、1997年来日。妻の千鶴さん、長男の富博くん(6歳)と長久手町に住む。
13歳からできるベビーシッター
 僕は中・高生のころ、ベビーシッターのアルバイトをしていました。カナダでは、市の講座を受けると13歳からベビーシッターができるんです。近所同士で「ちょっと出かけるので子どもを見てくれない?お宅のお子さん、中学生ですよね」と言って頼んだりします。カナダではそれが普通なので、日本でも息子のトミーが赤ちゃんのとき、奥さんに「子どもをベビーシッターに預けて、どこかに出かけよう」と言ったら、「そんなこと考えられない」と叱られてしまいました。
 子どものころ、夏は家族で湖や川でキャンプをしたり、秋は父が好きな鹿のハンティングについて行ったりしました。また、カナダはホッケーが盛んな国なので、夏でもローラースケートをはいて路上でホッケーをしたり。他にもサイクリング、ハイキング、フィッシング、スキーなどスポーツ系の遊びが多いですね。
日本の保育園にビックリ
 日本の保育園には驚きました。縫い物をしたり、包丁を使ったり、野菜やニワトリを育てたり。そして、掃除の仕方まで教えてくれるんですから。カナダの母はトミーのことを「この子が保育園でこんなことを覚えてきた」と、みんなに自慢しています。カナダでは、ほとんどの子どもは小学校から通い始めます。保育園や幼稚園はありますが、普通はデイケアに数時間だけ預けます。子育てのことで困ったときには、デイケアや教会のグループ、YMCA、コミュニティセンターなどに相談します。
 カナダでは、子育てや家事がお母さんの仕事という考え方はありません。僕と兄が続けて水ぼうそうにかかったとき、父が4週間ずっと世話をしてくれて、母がその間フルタイムで働いていたのを覚えています。父は建築関係の仕事をしていて、気温がマイナス20度ぐらいになる冬は仕事が休み。その代わり夏は休みなしで働き、母が僕たちの世話をしてくれました。
言葉の教育が重要
 移民の多い多民族国家のカナダでは、言葉の問題は重要です。公用語は英語とフランス語ですが、家庭と外とで使われる言葉が違ったり、おじいちゃん・おばあちゃんに言葉が通じなかったり。僕の家族も、母の両親はフランス、父の両親はチェコスロバキアからの移民で、当初は英語が話せませんでした。
 今は国際的な場で英語が使われることが多いですが、昔はフランス語が主流でしたし、この先もどんな言葉が公用語になるかわかりません。また、インターネットで一瞬にして世界の人と会話できる時代です。そんな時代を生きていけるように、トミーには1カ国語だけでなく他の国の言葉も身につけさせたいと思っています。
妻の千鶴さんからひとこと
まだ赤ちゃんだった息子を「ひとりでベッドに寝かせろ」と彼から言われ、一時はよくもめました。私は一緒に寝てオッパイをあげるほうがラクでしたし、自立心は時期が来れば育つと思っていましたので。 彼は子どもの面倒をよく見ますし、子どもも英語と日本語を覚えられ、国際結婚は楽しいですよ。