私は、絵本は人だと思っています。画家がいて作家がいて、ひとつの世界がつくられている絵本にふれることは、まさに人との出会いです。子どもは、いろんな人に接することで育つものですし、親にとっても自分たちの人格だけで子どもを育てるのは荷が重いです。私たち夫婦も、見知らぬこの地で子育てを始めたときに、どれだけ絵本に助けられたことか。たくさんの絵本を読み重ねて育ってきたふたりの子どもたちは、まるで人がそばにいてくれるかのような温かさや楽しさを感じていたと思うし、私にはない豊かさや人格、知識などを身につけている気がします。
また、絵本のよさは近所の公園と同じかもしれません。いつも同じように待っていてくれて、そこで自由に楽しみ、それぞれの親子が感じるものを感じればいい。そして、公園で遊んでいるときに「今うちの子は砂遊びが好きなんだな」とわかるように、絵本を読んであげていると今のその子の内面が見えてきます。それを受け止めてあげることで、絵本は子どもにとって居心地のいい世界になります。だから、子どもの心の中にできている世界を見せてもらうつもりで、読んであげてほしいですね。 |