あのねっと 今号の特集テーマ 絵本のあるくらし  

手で絵の具を塗っちゃうの!?
 今回、西辻さん親子に体験してもらったのは、1月12日に愛知県児童総合センターで実施した、絵本作家の荒井良二さんによる「ライブペインティング!まちがつながる?!」と、親子100人による遊びのプログラム「みんなでつくる!大きなステキなへんてこなまち」。
 荒井さんは、筆を使わないで描くダイナミックな手法が印象的。チャレンジタワー内に準備された真っ白い大きなキャンバスを前に、「何ができあがるか僕にもわかりません。キャンバスに絵の具を塗ること自体がライブ。時間が長いので出入り自由で楽しんでください」とあいさつし、ライブが始まった。
 絵の具のチューブを両手に握り、絞り出しながら直接キャンバスに直線や円を描き、両方の手のひらを筆代わりにしてペインティング。そして、汚れた手は遠慮なくズボンでふいてしまう。思いもかけない描き方に、笑い声をあげる子どもたち。観客の反応を楽しみながら、荒井さんは次々と違う色の絵の具に持ち替え、人や動物などを描いては手で消し、さらにボール紙やタオルでブラッシングしていく。
 全身を使ってキャンバスをはみ出す勢いで描かれ、色の上に色が重なってめまぐるしく変わる絵に、間近で見つめる西辻さん親子も目が釘づけ。途中、会場のリクエストに応えて絵本「へびのかんごふさん」を描いたり、子どもたちがペイントに参加したり。2時間近くライブペインティングを続けた荒井さんは、「ペイントの内容は毎回違い、プロセスを楽しむことを大事にしているので、結果の良い悪いはありません。筆を使うと上手に描こうとして動きが小さくなるけれど、塗っていると思うと体がラクに動いて解放感がある。偶然できる絵がおもしろいし、その絵にまた触発されるんです」と語った。
親も子もみんな裸足になって
 荒井さんのパフォーマンスに刺激を受けたあと、遊びのプログラムでは親子100人みんなで、大ホールのフロアいっぱいに敷かれた白い布にペインティング。大人も子どもも裸足になり、最初に荒井さんがローラーで描いた“赤い道”をきっかけに、一人ひとりがサインペンやチョークなどを持って、ヘンテコな道や車・家・学校などを次々に描いていった。
 西辻さん親子は、初めて会った人たちと一緒になり、手足をいろんな色に染めながら、世界でたったひとつの“まちづくり”に熱中。6歳の優衣ちゃんは、転んでお尻が絵の具だらけになるハプニングも、気にしない様子だった。1時間ほどで、できあがった大きなまち。みんなで道をたどって歩いたあと壁に飾り、眺めながら拍手をして喜び合った。
体験を終えて
 荒井さんが筆を使わず、自由に表現されていることに驚きましたし、いろんな色のグラデーションの中に、動と静、明と暗を感じ、人生を描いているようにも見えました。子どもたちは、絵を見て花火と思ったり、鳥の大群と思ったりと受け止め方はそれぞれです。荒井さんのお話を聞いて、子どもが持っているものを発揮できるように、大人がサポートしてあげる必要があると思いました。遊びのプログラムでは、描いているうちに気持ちがほぐれ、手も足も使って好きなように描いてみて、子ども心を忘れていたことに気づきました。
どこで体験したの? 愛知県児童総合センター(ACC)
チャレンジタワー、大ホール

「大人が楽しいと子どももうれしい」をキャッチフレーズに、親子で楽しめるさまざまな遊びのプログラムを実施中。子育てをする中で、ときには子どもの目線になる時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。詳細は裏表紙をご参照ください。