あのねっと18号今号の特集テーマ 子育て家族のお父さん
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落合さん 私の理想としては、父親はいちばん怖くて優しくて尊敬できる存在、そして切り札的存在であってほしいですね。また、夫と妻は、お互いにないものを補い合う存在であればいいと思っていて、そういう意味では私は夫に助けられています。
 たとえば、娘が学校で友だちとケンカし、私が先生から注意を受けたり、連絡帳に一方的に娘のことを書かれると、母親としてはとてつもなく落ち込むんですね。でも、夫に連絡帳を見せると、彼はププッと笑って「あいつらしいなあ。でも、まだ1年生なんだし、最初から完璧な人間がいたら怖いがや」って。そういう言葉を聞くと救われるんです。
 子どもに対しても、お母さんは優しく、お父さんは厳しく、だけではなくて、シャッフルされてもいいと思います。
宏昌さん ぼくは以前、試しに子どもにお乳をあげる真似をしてみたら、大泣きされたことがあるんです(笑)。父親もオムツを替えたりとか、ある程度は子育てに参加できるんですけど、最後は母親のオッパイとなってしまうと、父親は手を出せない領域ですよね。だから、父親の役割としては母親のサポートという面のほうが大きいと思います。母親は子どもと一緒にいる時間が長く、ストレスがたまってくると思うので、子どもから離せるときはひとりで買い物に行かせたりして、気分転換をさせてあげることで、ストレスを軽減できればと思っています。
亜由美さん 主人は本当によくやってくれるので、私はかなり助かっています。
宏昌さん 今の言葉、ゴチック体にしておいてください(笑)。
亜由美さん ふたりの子どもに同時に泣かれるとイライラしてしまうんですが、そういうときに主人がいてくれると、上の子を外に連れて行ってくれたり、私に「息吸ってー、吐いてー」と言って落ち着かせてくれたり。それと、私は上の子に厳しく言ってしまうことが多いんですが、そのあとすぐに優しくするのもよくないと思って、しばらく放っておくんです。そうすると、泣いている娘を知らないうちに主人がフォローしてくれているので、そういうことも父親の役割として大切だと思います。
生田さん 私は朝6時に起き、洗濯して干してから会社に行きます。掃除も、私が掃除機をかけないと誰もかけてくれません(笑)。食事のしたくは家内がしてくれますが。役割というより、家の運営にかかわってしまえばいいと思うんです。忙しいだんなさんでも、出勤するときにゴミを出すぐらいはできるんじゃないでしょうか。
 私がなぜ家事をするのかというと、たとえば子どもに「靴をそろえなさい」と言っても、子どもは親を見ているので私自身がやらないと始まらないから。父親の役割というと漫然としていますが、わが子をどう育てるかに尽きるような気がします。子どもが自立するうえで必要なことを身につけさせる、そういうしつけをしたいと思ったのが基本だったかなと、今にして思います。
宏昌さん 生田さん、まめなんですねえ。男性が家のことをしようとしても、最初は当然奥さんより下手なので、それを寛大に見守ってほしいなと思います。「そうじゃなくて、こうでしょ」とか「もういい、私がやるから」と言われると、やる気をなくしてしまいますから。といっても、これはうちの話ではないですよ(笑)。かかわりたいと思う気持ちを大切にしてほしいし、気持ちよくやれる環境をつくってくれれば、それが自然に役割になっていくのではないでしょうか。
山崎さん 先ほど、母親でないとできない領域があるというお話がありました。確かに、母乳は母親でないと無理ですが、ミルクや離乳食を与えることはお父さんでもできますよね。男性の場合は、きっかけを与えられないと役割を見つけにくいかもしれませんが、決まった役割があるというより、その時々に自分がやれること、やりたいことを、役割にしていけばいいのではないでしょうか。
 積極的に子育てにかかわる男性たちを見ていると、輝いているなと感じます。また、子育てを専門家や専門書に頼る風潮があるなかで、彼らは自分で考えたり実践したりしながら、信念を見つけて子育てをしているところが、素晴らしいなと思いますね。