子育て支援者研究会議は、行政担当者・NPO・民生委員などを対象に開催され、基調講演で山崎さんは次のようなお話をされました。 |
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あいち小児保健医療総合センターの時間外電話相談「育児もしもしキャッチ」には、2年半に約1万件の相談がお母さんから寄せられています。その内容は、育児相談のほか、子どもの病気や異物誤飲など事故の手当に関することも多くあります。
相談内容を分析すると、病気の手当についてお母さんが求めているのは、救急病院に連れて行くべきかどうかへの助言と、自分で対処する場合の方法についての助言。そして、相談の8割は相談するだけで安心し解決できる内容です。また、育児にイライラ感を持つお母さんのタイプは、「乳児を持つ人」「幼児を持つ人」「自分自身の悩みを持つ人」の3つに分けられます。
一方、相談員の対応は、「赤ちゃんが泣きやまない」という相談例でみると、「知識の提供」「対処法の助言」「心情への共感・傾聴」の3つに分類できます。電話相談は、育児書などとは違い、相談員が相談者の家庭の雰囲気や気持ちを考慮しながら対応でき、相談者もすぐに不安を解消できるというよさを持っていると思います。
さて、昔は農業を手伝うなど子どもは「小さな大人」でしたが、教育が始まった近代以降は、大人から隔離された「子ども」になりました。そして子育ても、昔と今のやり方のバランスが取れていた時代を経て、1980年代以降は、母親は労働せず子ども主体の育児をすべきという「超日本式育児」に変化。そのため「母親だからできて当たり前」という社会のプレッシャーが生まれ、母親は自分を見失ってしまいました。だから今、親が主体性を取り戻すことが必要だと思います。 |
子育て情報があふれるなかで安心して子育てをするには、母親たちが協働・共感・共有し、行政などがそれを下支えし力づけていくことが必要です。父親不在という課題は残っていますが、次世代育成支援法もできたので、今の社会に合った子育てや支援ネットワークづくりについて、今後さらに議論を進めていきましょう。 |
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