あのねっと18号今号の特集テーマ 子育て家族のお父さん
あのねっと入手についてのご案内
子育て支援センター ファミリー・サポート・センター
 「第3回子育てフェスタinあいち」が、2004年10月から12月にかけて県内各所で開催されました。子育て中の人も子育てを応援したい人も、立場の違いを越えて集い、地域社会に子育て支援の輪を広げることが目的。主催は子育てフェスタinあいち実行委員会、子どもの虐待防止ネットワーク・あいちなど。さまざまな催しの中から、10月23日に名古屋会場で行われた第3分科会の絵本作家・森野さかなさんの講演と、12月12日に知多会場で行われた子育て支援者研究会議の山崎嘉久さんの基調講演をご報告します。

●名古屋会場【第3分科会】
講師:森野さかなさん(絵本作家)
 森野さんは、母親自身が満たされることの大切さを描いた絵本『理想のママのつくりかた』(自由国民社)の著者。分科会担当者が『理想のママ〜』を朗読したあと、講演が行われました。
 私は3歳のときに母を亡くし、直後にやって来た継母から身体的虐待を毎日受けました。そして5歳のとき、父に東南アジアへ養女に出されそうになり、祖父母に引き取られました。でも、愛情に包まれて育ったというより、末期ガンで大手術を受けた祖母と祖父、私の3人で力を合わせて暮らしてきたという感じです。そんな私たちを近所のおばちゃんたちがいろいろ助けてくれたんですが、ありがたいと思うと同時に世話をするほうもうれしいものなんだと知り、私も誰かに喜んでもらうことでハッピーになりたいと思って絵本作家になりました。
 『理想のママのつくりかた』は、ある気づきがきっかけで誕生しました。私は、おばあちゃんが作ってくれた茶色一色のお弁当がいやだったので、娘のお弁当の彩りには気をつかったんですが、あるときそれは私自身が持って行きたかったお弁当だと気づいたんです。そう考えると、他にも思い当たることがいっぱいあり、自分が欲しかった理想のママ役を演じることで自分が慰められ、つらい思い出をチャラにしていけると実感しました。娘が高校2年になった今もそれは変わらず、いつも子どもの側に立って接するようにしています。
 また『理想のママ〜』には、虐待してしまうお母さんへの「あなたのせいじゃない」とうメッセージもこめています。なぜなら、もし理想のお母さんに育てられていたら、その人も素敵なお母さんになれたはずですから。子ども虐待の問題は、子どもを保護して終わりではなく、暴力をふるってしまう親の心のケアこそが大事だと思います。
 医者に生き残れる可能性は1%もないと言われた祖母でしたが、今年(2004年)1月に86歳で亡くなるまで寿命を延ばしました。それも、私を育てねばという使命があったからかなと思います。私は母親として、家族みんなが輝くためにも太陽でありたいと思っています。オンリーワンの自分を大切に、セカンドチョイスをしない人生を心がけて、一人ひとりが輝いて生きていきたいものですね。
●子育て支援者研究会議【基調講演】
 〜子育てネットワークはなぜ必要か?〜
講師:山崎嘉久さん(あいち小児保健医療総合センター 総合診療部長・保健室長)
 子育て支援者研究会議は、行政担当者・NPO・民生委員などを対象に開催され、基調講演で山崎さんは次のようなお話をされました。
 あいち小児保健医療総合センターの時間外電話相談「育児もしもしキャッチ」には、2年半に約1万件の相談がお母さんから寄せられています。その内容は、育児相談のほか、子どもの病気や異物誤飲など事故の手当に関することも多くあります。
 相談内容を分析すると、病気の手当についてお母さんが求めているのは、救急病院に連れて行くべきかどうかへの助言と、自分で対処する場合の方法についての助言。そして、相談の8割は相談するだけで安心し解決できる内容です。また、育児にイライラ感を持つお母さんのタイプは、「乳児を持つ人」「幼児を持つ人」「自分自身の悩みを持つ人」の3つに分けられます。
 一方、相談員の対応は、「赤ちゃんが泣きやまない」という相談例でみると、「知識の提供」「対処法の助言」「心情への共感・傾聴」の3つに分類できます。電話相談は、育児書などとは違い、相談員が相談者の家庭の雰囲気や気持ちを考慮しながら対応でき、相談者もすぐに不安を解消できるというよさを持っていると思います。
 さて、昔は農業を手伝うなど子どもは「小さな大人」でしたが、教育が始まった近代以降は、大人から隔離された「子ども」になりました。そして子育ても、昔と今のやり方のバランスが取れていた時代を経て、1980年代以降は、母親は労働せず子ども主体の育児をすべきという「超日本式育児」に変化。そのため「母親だからできて当たり前」という社会のプレッシャーが生まれ、母親は自分を見失ってしまいました。だから今、親が主体性を取り戻すことが必要だと思います。
 子育て情報があふれるなかで安心して子育てをするには、母親たちが協働・共感・共有し、行政などがそれを下支えし力づけていくことが必要です。父親不在という課題は残っていますが、次世代育成支援法もできたので、今の社会に合った子育てや支援ネットワークづくりについて、今後さらに議論を進めていきましょう。
気軽にご利用くださいね!
時間外電話相談
育児もしもしキャッチ

夜間に、育児相談や母と子の健康に関する相談を、専門相談員がお受けします。
●受付/月〜金曜日(祝日・年末年始を除く) 午後5時〜午後9時
●専用電話/0562‐43‐0555
●相談をお受けするのは/ あいち小児保健医療総合センター