あのねっと18号今号の特集テーマ 子育て家族のお父さん
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 昨年、名古屋市天白区で開催された「おやこ(父子)で楽しむ料理教室」には、定員の3倍の応募があり、主催した「おやじの休日の会」代表で3児の父・岡本靖史さんは、予想以上の反響にうれしい悲鳴をあげた。最初は妻に誘われて参加した父親たちも、4回連続講座の最終回には「親子の会話が増えた」「料理を楽しむことができた」「次回も参加したい」といった感想を寄せているという。
 「もっと父親のための企画があってもいいのではないか」。岡本さんがこの料理教室を考えついたのは、小さな思いからだった。小学1年の息子と子ども会のドッヂボール大会に参加したとき、父親の参加があまりに少ないことに驚いたのだ。父親は仕事が忙しく、母親が子育てに孤軍奮闘。また、子育ちに必要な地域のつながりも薄くなってしまった。そんな家庭や地域の状況を、料理という身近な題材を介して父子が集う場を提供することによって、見直すきっかけになればと考えた。
 料理人の経験をもつ岡本さんは「“食”には人を仲良くさせる不思議な力があります。食べることを中心に、お互いの気持ちが向き合うことが大切で、自分たちで作って食べれば相乗効果があるはず。そんな“食の力”を借りて、休日にお父さんが積極的に家族団らんの場をつくってもらえればと思います」。 
 料理教室のメニューは、ピザ、カレーライス、手打ちそば、バームクーヘンなど多彩で、「親子で力を合わせるとちゃんと仕上がるしくみになっている」という。と同時に「父子での成功体験を積み重ね、自信をつけてもらうことが大事」との配慮から、失敗しないようサポートも。岡本さんの他に特別講師を招き、8歳と5歳の岡本さんの子どもたちもスタッフとして手伝う。
 岡本さんは現在、名古屋市内の授産施設で、高齢者向け宅配給食の作業支援員をするかたわら、「おやじの休日の会」を運営する。しかし、かつてレストランの店長だった時代は、仕事を頑張りすぎて「家庭崩壊の寸前だった」という。その反省から、転職し家庭中心のスローライフに転換した。
 「今の子育て世代が抱える問題は社会的な問題ですし、誰もが私のように切り替えられるわけではないでしょう。でも、核家族の中の夫・父親の責任として、どこかで立ち止まる勇気が必要な気がします」と岡本さん。
 岡本さん自身、家では家族一緒の食事を基本に、休日に料理の腕をふるったり、子どもとお好み焼きを作ったり。子どもが寝る前には“父親のパフォーマンス”として、図書館で借りた絵本や昔話の紙芝居を見せる。また「おやじの休日の会」の活動に対する妻の反応については、「公的な助成金制度を教えてくれたり、見えなかった部分を指摘してくれる良き理解者なので、苦言も素直に聞きたい」と話す。
 今年4月以降の活動としては、おやこ料理を中心に、自然観察や工作、外国人親子を対象とした食文化交流の講座など、新たな企画にも取り組む予定。ただし、仕事と同様に頑張りすぎは禁物のため「自分の器を超えないようにやっていきたい」と話している。
〜お母さんたちへ〜
1.台所が汚れても大目に見る
2.できた料理を「世界一おいしい!」とほめる
3.「いつ作ってくれるの?」とせかさない
(おやじの休日の会より)
2004年2月発足。「おやこで楽しむ料理教室」など講座開催のほか、ホームページでお父さんが休日を有意義に過ごすための情報を提供。講座は名古屋市天白生涯学習センターなどで開催。代表の岡本さんは8歳・5歳・1歳の子どもをもち、名古屋市天白区に在住。
FAX 052(831)5548 
Eメール yaokamot@d1.dion.ne.jp  
ホームページ http://www.oyaji-web.com