昨年、名古屋市天白区で開催された「おやこ(父子)で楽しむ料理教室」には、定員の3倍の応募があり、主催した「おやじの休日の会」代表で3児の父・岡本靖史さんは、予想以上の反響にうれしい悲鳴をあげた。最初は妻に誘われて参加した父親たちも、4回連続講座の最終回には「親子の会話が増えた」「料理を楽しむことができた」「次回も参加したい」といった感想を寄せているという。
「もっと父親のための企画があってもいいのではないか」。岡本さんがこの料理教室を考えついたのは、小さな思いからだった。小学1年の息子と子ども会のドッヂボール大会に参加したとき、父親の参加があまりに少ないことに驚いたのだ。父親は仕事が忙しく、母親が子育てに孤軍奮闘。また、子育ちに必要な地域のつながりも薄くなってしまった。そんな家庭や地域の状況を、料理という身近な題材を介して父子が集う場を提供することによって、見直すきっかけになればと考えた。
料理人の経験をもつ岡本さんは「“食”には人を仲良くさせる不思議な力があります。食べることを中心に、お互いの気持ちが向き合うことが大切で、自分たちで作って食べれば相乗効果があるはず。そんな“食の力”を借りて、休日にお父さんが積極的に家族団らんの場をつくってもらえればと思います」。
料理教室のメニューは、ピザ、カレーライス、手打ちそば、バームクーヘンなど多彩で、「親子で力を合わせるとちゃんと仕上がるしくみになっている」という。と同時に「父子での成功体験を積み重ね、自信をつけてもらうことが大事」との配慮から、失敗しないようサポートも。岡本さんの他に特別講師を招き、8歳と5歳の岡本さんの子どもたちもスタッフとして手伝う。 |