あのねっと18号今号の特集テーマ 子育て家族のお父さん
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編集部 まずケース1についてですが、石黒さんご夫妻はどのようにお考えでしょうか。
石黒亜由美さん(以下亜由美さん) うちには4歳と4カ月の子どもがいます。主人はサラリーマンですが、ローテーション勤務の職場なので、平日が休みだったり、夜勤で昼間家にいる日があったり。だから、子どもとよく遊んでくれるので私は家事に集中できます。その代わり、夜勤のときに子どもが病気になって救急病院に連れて行くときには、子どもがふたりいると大変です。
 自分だけ残業せずに帰るのはなかなか難しいので、ノー残業デーをつくってくれるとか、子どもが生まれたばかりの時期は夜勤をなくしてくれるなど、会社に配慮してもらえたら助かります。有給休暇も取りやすくしてほしいですね。育児休暇も、母親は取るのが当たり前になりましたが、父親はなかなか取れない状況なので、たとえば育休を取らないと出世できないとか(笑)、それくらいの法律をつくってほしいと思います。
石黒宏昌さん(以下宏昌さん) 耳が痛いですね(笑)。父親も子育てに参加する時代に変わってきていますが、日本では社会や会社がひとつの家族のような意識が根づいていて、自分だけ休みを取りにくい状況があるので、父親の子育て参加を進めるにはある程度、強制力が必要な気がします。また、これから先、子育てに参加した世代が上司になれば変わっていくのかもしれませんね。
落合さん 小学1年生と幼稚園年中の子どもがいて、夫は会社員で忙しい人です。男性も育休を取れるようになったら素晴らしいと思いますが、実際は長期間休むと元の部署に戻れないだろうし、夫は私たちのために働いてくれていると思うと、子どものためだけにあれこれは言いづらいですね。だから、現実的な理想としては、仕事から帰って来たら、家族と向き合う時間をつくってくれればいいかなと思います。
 というのは、以前は日が沈むと帰宅して子どもと遊ぶという生活だったんですが、昨年から土・日・祝日も出勤し、深夜に帰って朝6時ごろに出かける生活になったので、今は子どもと向きあう時間がまったくないんですね。それまでも育児に参加していたわけではないんですが、いなくなって初めてありがたみがわかり、いてくれるだけでよかったんだと感じました。子どもも、父親と遊ぶ時間がなくなってストレスがたまるのか、二言目には「ママはつまらない」と言うんです。
生田さん 子どもは20歳と高校3年・中学3年の3人です。サラリーマンで土・日曜が休みで、家内はNPOの仕事をしています。会社の休日がカットされたりして、子育てが難しい時代だとは思いますが、私は子育てに参加しないのはもったいないと思うんですね。子どもはちゃんと反応してくれたりして、おもしろいですよね? 子育てを経験していないと、子どもが大きくなったときにわが子のことが何もわからない。そういう人はほとんどモーレツサラリーマンで、上司になったら、子どものことで休もうとする部下に「君のところには嫁さんがおらんのか」と平気で言うんじゃないかと思いますね。
山崎さん 子育てに参加しないのはもったいないというお話、私は偉そうなことは言えませんが、そのとおりだと思います。
 法律の話が出ましたが、昨年「次世代育成支援対策推進法」という法律ができました。この法律では、市町村だけでなく、企業(社員301人以上)の子育て支援に関する行動計画についても定めていて、今年4月には計画を作って国に届け出をしなければいけないことになっています。
 現在でも企業や役所にはノー残業デーがありますが、なかなか守れないのが実情です。そんななかでも、ノー残業デーを実行している企業もあるんですね。この地域のある大企業では、ノー残業デーには社長が来て社員に「帰れ」と言うんだそうです。また、ある中小企業は、絶対に残業と休日出勤をさせないという理念を持っていて、それでも赤字を出したことがないそうなんです。
 少子化が問題視されていますが、悪い面ばかりではない気もします。人口が減っていけば労働者は貴重な存在になり、育児休業を取れないような企業は生き残れなくなるかもしれませんよね。新しい法律もできましたし、長い目で見れば世の中は変わりつつあるような気がします。