「表情認知と親子関係」では、親が子どもの表情をどう読み取るか、そこに親の気持ちがどのように投影されているかに注目します。
たとえば、いろんな表情をしている1歳児の顔写真を見せて、赤ちゃんがどう思っているかをお母さんに答えてもらいます。赤ちゃんの表情はあいまいですし、読み取り方の正解もないんですが、それだけに育児中のお母さんの気持ちがダイレクトに映し出されるわけです。写真を見て非常に否定的な気持ちばかりを読み取るお母さんもいるんですが、そういう読み取りを日常的にしているとしたら、母子関係に問題が生じていることが予想されます。
順調な親子関係を築いている親は、子どもの表情から「うれしい」「悲しい」「怒っている」といった感情や、親への要求・自己主張・甘えなどのいろいろな気持ちを読み取ります。また「お腹がすいている」「体調が悪い」など体の調子に注目したり、単に「何かを見ている」「ボーッとしているだけ」というように感情を読まないこともあり、子どもの表情を幅広く受け止めることができます。 |