あのねっと 今号の特集テーマ 「ほめる」子育て  
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Oliver Mayerさん
オリバー・マイヤー

●1968年、ドイツ生まれ。愛知教育大学・准教授。研究分野はドイツ語教育・ドイツ現代文学・都市交通問題など。2001年から日本に在住し、2004年に朗子(あきこ)さんと結婚、長女虹奈(にな)ちゃん(2歳)、長男甲斐くん(6カ月)をもうける。甚目寺町在住。
ひとりっ子が増えている
 いまドイツでも少子化が問題になっています。3人ぐらい欲しいと思っていても、産んでみると子育ては大変だし自分の時間がなくなるので、1人でいいと考えるようです。お母さんが仕事と子育てを両立できるように、保育園や幼稚園を増やそうという意見も出ています。日本のような子育て支援センターや児童館はありません。僕は、仕事をする・しないに関係なく保育園・幼稚園や学童保育所などはもっと必要だと思います。なぜなら、子育てで疲れたお母さんを助ける必要があるし、ひとりっ子が大事にされすぎて“小さな王様”にならないよう、もっと他の子と遊んだほうがいいからです。
 ドイツの学校は半日制です。朝8時から授業が6コマあり、午後1時か1時半ぐらいに終わって家でお昼ごはんを食べます。宿題がたくさん出るので、終わらせるのに2〜3時間かかります。部活動はなく、スポーツや音楽を習いたい子はスポーツクラブや音楽学校へ行きます。高校や大学は入学試験がありませんが、卒業試験が難しいです。だから、ドイツの学習塾は勉強が足りず卒業できない子のためのものです。
父と森の中をウォーキング
 ドイツでは、一般的に赤ちゃんのときから別の部屋のベッドに寝かせます。甘やかさないように、泣いてもすぐには抱っこしません。子育てでいちばん大事にしているのは、小さいうちからその子の個性を尊重することだと思います。
 ドイツにも「男は仕事、女は家庭」という古い考えがまだ残っていますが、仕事は日本より早く終わるので、お父さんも家族とゆっくり夕ごはんを食べますし、子どもの宿題をよく見ます。お母さんは、半日だけ働くケースが多いですね。僕の両親はふたりとも学校の先生だったので、勉強には特にうるさかったです。ドイツ人は散歩が大好きで、子どものころ父とよく山のペンションに1〜2週間泊まり、毎日3〜4時間、森の中を歩きました。でも、僕は散歩が大嫌いで(笑)、家で本を読んでいるほうが好きでしたね。
 キリスト教の影響で、日曜日はお店が全部休みですし、庭で芝刈り機をかけるのも音がうるさいので法律で禁止されています。だから、土曜日のうちに買い物や洗車、畑仕事などを全部しなければいけないのでとても忙しいです。日曜日は、家族みんなで森や湖へドライブに行ったり、遊園地に行ったりします。
僕のおもちゃを妹の子どもへ
 日本に来てびっくりしたのは、コンサートで子どもたちが静かにしていること。ドイツの子どもはおとなしくしていないので、コンサートに連れて行くなんて考えられません。また、ドイツではレストランでも子どもがやかましいとすぐに苦情を言われますし、料理に時間がかかり子どもは待てないので連れて行きません。日本のファミリーレストランのようなお店はなく、料金も日本のように安くはないですね。
 ドイツの街はバリアフリーが進んでいますし、ベビーカーで電車やバスにもよく乗ります。また、物を大事にする文化があり、僕がむかし使っていたレゴブロックは妹の子どもが使っていますし、いらなくなったおもちゃは学校や教会のお祭りでフリーマーケットに出します。
 日本では赤ちゃんを畳の上で遊ばせたり寝かせたりできますが、ドイツの家は石の床なのでベビーサークルの中で遊ばせます。子どもが歩き回らないように、日本でもベビーサークルを買おうと思ったら、「刑務所みたいだから」と家内に反対されました(笑)。日本語にも翻訳されていますが、「はらぺこあおむし」などエリック・カールの絵本はドイツ国内でもとても人気があります。子どもたちにはバイリンガルになってほしいので、家では2歳の娘とドイツ語や日本語の絵本を見ながら、動物の名前を教えたりしているんですよ。