特集 実感!!Special Edition
子どもが苦痛かどうかが虐待の基準。
悪条件が重なると
大人はその力を誤用。
 白石さんは言う。
 「そもそも夫婦の間に子どもが加わるということは『危機状態』なんですね。危機というのは悪い意味ではなく、子どもと一緒に夫婦がいい関係に発展していく可能性もある、変化の時期ということ。でも、さまざまな理由で子育ての協力関係がつくれずに、母親の負担が重くなってしまう。それと同時に『子どもを持っても自分らしい生き方をしたい』という女性の意識と、『子育ては女性の役割』という現実とのギャップもあります」
 そして、ストレスが重なった状態で、子どもが言うことを聞かなかったりすると、思わずキレてしまい、まじめな人ほどそんな自分を責めて、「私は虐待する母親だ」と苦しみを深めてしまうこともある。こうした虐待の芽はどこの家庭にもあり、その芽を大きく育てないようにすることが大切だ。密室化した家庭では、弱い子どもにストレスが向けられやすいので、そうならないよう親子の関係を開いておくことが必要になってくる。
 子ども虐待は「身体的虐待」「養育の放棄・拒否(ネグレクト)」「性的虐待」「心理的虐待」の4つに大別される。しつけや愛のムチといった親側の論理ではなく、子どもが苦痛かどうかを基準とし、広義では家庭外で起こったことも含まれる。  虐待という行為の前提には、大人と子どもの間の歴然とした力の差があり、その力を子どもに対して適切に使う努力をすれば、虐待は防げる。しかし、次のような場合にはそれができなくなってしまうことがある。
CAPNAオフィスにて
CAPNAオフィスにて
(1)社会的に孤立して、感情が煮詰まりやすく子育て支援のサービスや情報から縁遠い。
(2)経済的な問題や家族関係の不和などの生活ストレスを抱える。
(3)親自身の生育歴により、攻撃性をコントロールできない情緒・性格上の問題がある。
(4)子ども理解の問題として、育児知識の欠如による子どもを見る目のゆがみや、子どもへの無理な期待や要求などがある。
 これらの条件が全てそろうと、子ども虐待が発生する可能性が高いと言われている。



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