種井さん |
お母さんたちの話を聞いていると、なぜ育児が不安なのか分かります。子育てで一番大切なことは、大きな心で育てることだと思いますよ。親が不安なのは、親自身も大きな心で育てられてないからです。親が優しい心で愛情いっぱいに育てれば、その子が親になった時に自分の子どもに伝える。親子のタテの関係は最も大切で、それがよければ、兄弟や友だちなどのヨコの関係も自然によくなるんです。
親から小言や注意ばかり受けていると、子どもはイライラや不安定な気持ちでいっぱいになります。そういう状態がいじめや非行につながる。心をコップに例えると、空っぽのコップに親が優しさや思いやりの心を毎日注いでやれば、やがていっぱいになってあふれ出す。そうなって初めて他人にも優しくしてあげられるようになるんですね。
だから、子どもに注意するのは身の危険があるときだけで、あとはほめてあげること。それから抱いてあげたり、頭をなでたり、握手したりという、スキンシップをしてあげてほしいですね。 |
編集部 |
種井さんから心の問題という大事な指摘がありましたが、子どもを虐待してしまう親の中に「わが子を可愛く思えない」という気持ちがあって、確かにこれは親自身の心の不安定さが原因ではないかと思います。そのために、子どもにひどくあたってしまったという経験が、誰にでもあるのではないかと思うんですが…… |
加藤さん |
親として子どもを可愛がった方がいい、ほめた方がいいと重々わかっていても、つい手をあげてしまうことはあると思うんですね。私が子どもを可愛く思えなかったのは、とにかく子育てしなくてはという気持ちが強すぎて、あまりにも自分が我慢しすぎていたからだと思うんです。自分が満たされていないから、子どもの心を満たしてあげることができなかった。
だからお母さん自身が幸せになることも大事だなと思います。私自身は、2人目は生まれた時から自然に可愛いと思えましたが、それでもまだ育児がつらかった。その後、講座を受けたり本を読んだりするうちに、自分の考え方が変わり、楽になりました。それと、夫が助けてくれなかったことも、いま思うと夫も満たされていなかったんじゃないかと思います。
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垣内先生 |
日本の場合、親は滅私奉公的に子育てをしてしまうところがありますが、子どものためだけでなく、親自身が輝いて生きることも大事ですからね。子どもは、自分のまわりの大人であれ子どもであれ、生き生きとしている人が好きだし、そういう中で育てられることが、子どもの幸せにもつながるのかなと思います。 |
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