山田心理判定員は、これまで子ども虐待のさまざまなケースを見てきた。その経験から、しつけと虐待の関係をどのようにとらえているのだろうか。
「虐待をしている親には、どこまでがしつけでどこからが虐待かを見極めるものさしはありません。しつけが行きすぎた状況で虐待が起きてくるんだと思います。子ども虐待の問題に対する世間一般
の理解が深まったことで、体罰の許容レベルが厳しくなり、今まではしつけで通
っていたことが虐待と見なされるようになった面はあります。しかし、虐待の問題は子どもの視点で考えることが必要であり、親はしつけのつもりでも、子どもの心身に悪影響を与える行為は虐待と判断されます」。
しつけのつもりが虐待になってしまうとしたら、どんな場合だろうか。熊田弁護士はこう語る。
「たとえば、しつけに暴力がともなって体に傷が残ったり、子どもが傷つくような言葉づかいで叱ったりする場合ですね。あるいは、つい手が出てしまったという程度ではなく、何度も叩いたり倒れた子をけったりするのは、しつけの枠を超えていると思います。その場合は、自分のストレスを子どもにぶつけているか、自分も親にそうされた経験から他の方法を知らないか、などの原因が考えられるのではないでしょうか」。
|
山田光治心理判定員
(臨床心理士) |