編集部 |
ケース2のように、お子さんが途中で習いごとを「やめたい」と言ったときは、どう対応されますか。 |
大薮さん |
上の子がスイミングをやめると言ったのは、本人が行き詰まったからなんですね。壁にぶちあたったときには乗り越えてほしいんですが、無理にやらせてもよくないし、学校で教えてもらえることと思ってやめさせました。まわりでは、友だちがやめたからとやめるケースが多いですね。あと、一緒に入った友だちが進んでいるのに、自分は進まないからやめたいとか。
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林先生 |
入った動機が友だちが入るからということであれば、やめる理由も友だちがやめるからというのは、すごく自然ですよねえ。(一同笑) |
服部さん |
一番上の子が日本舞踊を「休みたい」と言ったときは、先生にひとことお願いしておくと、いつもは5回やるところを「今日は3回にしようか」と気づかってくださり、そうやってクリアして続けています。
真ん中の子が太鼓を習い始めたときには、先生がすごく厳しいので本人は泣きながらやっていて、しまいには先生から「家で楽譜を教えるように」と言われました。私は教え込んでまでやらせたくないので、入ったばかりだけどやめても仕方がないなと。だけど月謝が半年払いだったんです。(一同笑)
送り迎えをしていた主人は「すぐにやめさせたのでは今度何かやるときによくない」と、帰りにどこかへ寄る楽しみをつくったりしてなんとか続けていたら、先生が代わったので子どもも喜んで行くようになりました。 |
樋口さん |
私は子どもの頃にピアノに憧れて習っていたんですが、だんだん練習がイヤになってきて……。親としては私が伸びないし、練習はしないし、経済的にも余裕がなかったのでやめさせたようです。子どもが「やめたい」と言ったときに、続けさせようと親が必死になるのは、子ども自身が「できる」と自覚できる年齢になれば伸びるのでは、という期待があるからではないでしょうか。 |
林先生 |
服部さんは、日本舞踊の先生ととてもいい関係をもっていらっしゃいますね。お母さん同士だけでなく、先生と親しくなって相談してみることも大事でしょうね。
「やめたい」と言ったとき、上達しないからとか行くのが面倒という理由なら、克服できるかもしれないので、たとえば「もう1カ月だけ続けて、それでもイヤだったらその時に考えてみようね」と、1〜2カ月先の見通しを子どもに示すのもひとつの方法です。
また、友だちや先生との関係がこじれてイヤで仕方がないという場合は、やめさせた方がいいのかもしれません。子どもはつらい目にあってもあまり親に言わないもので、それは親を悲しませたくないと思ったり、つらい目にあうのは自分が悪いからだと思い込んだりするからなんですね。そういう場合は「あなたはちっとも悪くないのよ」と子どもに自信を持たせてあげることが必要です。
やめさせるかどうか見極め方は難しいんだけれど、子どもの言うことをよく聞いて、「やめたい」という言葉の背景を見てみることが必要でしょうね。やめさせたくないからと、「あなたがやりたいと言ったんでしょ」と殺し文句を言って責めたりするのは、子どもに気の毒ですね。
親は「ちゃんと練習するあなたはいい子よ」と、「条件付き愛情」で子どもを向上させようとしたりします。子どもはそれに応えようとするんですが、応えられないと思ったときには子どもは子どもなりの絶望感を感じるんです。
日本の子どもは、ほかの国の子どもと比べて全体的に自信喪失しているんですね。小学校5年生ぐらいになると、親はあまり自分のことを期待していないのではないかと思っている子が多いんです(グラフ参照)。日本ほど早期教育産業が盛んな国は諸外国にはないと言われているんですが、日本の子どもが自信喪失なのは、生きる力が育つ前に早期教育をやりすぎている影響なのかもしれません。 |
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