この日、長湫西保育園では七夕会が行われた。園児たちで劇をやったり、保育士による演奏やパネルシアターを見たり。スイカを食べ、プールにも入った、盛りだくさんの楽しい一日だった。日頃の保育プログラムは、同じ年齢の子を受け持つ保育士どうしで話し合うが、細かな内容や実施方法は各クラス担当者にまかされている。
工作が好きな加藤さんだが、「自分が好きなのと、それを子どもにやらせるのとは違いますね。やりたいことをどうやって子どもたちに理解させ、できるようにするか。それがむずかしくもあり面白くもある。たとえば、紙を三角に折ると言っても子どもは分からないから、紙の縁にそれぞれ色を塗っておいて、赤い線と青い線がこんにちはするように折ってね、とか。子どもに伝わる表現の仕方を工夫する必要がありますね」。
新人の頃にはこんな経験もあったと苦笑する。「男性だからこそできる体を使った大胆な遊びをやろうと、子どもたちに投げかけてみたんですが、子どもはついてこなかった。一人よがりでしたね」。
いま加藤さんは一つの課題を抱えている。「男らしい保育って何だろう?そういうものはあるのか?」という疑問だ。そんな加藤さんに対して伊左治園長は「5年ぐらいたつとある程度理解できるが、その半面、保育の仕方について葛藤することもあるだろうし、また男性保育士という立場をどう生かしていくかなどが、悩むところではないでしょうか」と心情を察する。
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