特集 あのねっと発「テーマトーキング」
ケースB
子ども同士は仲良しで、お誕生会に呼ばれたりするが、
家庭の方針やしつけなど親同士がどこか合わないのでストレスがたまる。
子ども同士の関係を優先?
編集部  ケース3のような場合には、関係を続けた方がいいか、離れた方がいいかと考えることもあるかと思うんですが。

近藤さん  私は、親を見て自分と合わないと思ったら、おうちの行き来をしたりはしないですね。サークルとか公園では、子どもたちが遊んでいれば親同士そんなにしゃべる必要もないし。子どもを通じての関係じゃなくて、私の友達という感じで相手を選ぶので、そんなに気にしたことはないですけど。

伊藤さん  私は巻き込まれて(笑)、ストレスがたまるタイプです。だけれど、親の方は合わないと思っているのに、子ども同士は何をして遊んでいるのか、その現場を見てみたいという気持ちもある。それで、お誕生会とかを親子みんなでしてみると、友だち同士の和が私よりウワテだなと思ったり、逆にすごく疲れてるなと思ったり。

冨山さん  私の場合、主人がスリランカ人でイスラム教徒なので、その関係の方たちや家族とは離れられない関係なんですね。でも習慣の違いとか生活時間のズレがあって、夕食中の6時ぐらいに子どもが遊びに来たり、夜10時、11時まで家族そろっていらっしゃったり。主人の国ではそれが当たり前でもやはり困りますね。
 主人は「子ども同士は仲がいいんだから、親じゃなく子どもを見てつきあえば?」とか「毎日じゃないから目をつぶってあげて」と言うんです。だから楽しいことを一緒にやって、ほかは目をつぶるようにしたり、うちでお食事会をする時は「6時からで9時に寝るからそれまでね」と、主人に言ってもらったり。

日高さん  私は以前入っていたサークルの人と、子どもが同じぐらいの月齢で生後6カ月頃からずっと一緒にいたけど、少しずつしつけなどに対する違いが出てきて…。でも今でも電話はしたりしてます。だから、行き先が違っても、どこか合うところがあれば関係は続くし、いい部分だけつきあうのもそれはそれでいい。そう思えるようになったのは今のサークルがあるからだと思う。
トーキング中は別室で託児。

伊藤さん  子どもが小さいうちはいつも子どもと一緒だから、親同士という意識が強いけど、小学生になれば子どもは子どもでうまくやってるし、親が子どもをはさまないとやっていけない関係は解消されて、私とあなたという大人同士の関係になっていくと思います。

編集部  お話はまだまだ続きそうですが…。今日のテーマトーキング全体について、白瀧先生からアドバイスをお願いします。

白瀧先生  いろいろお話を聞いていて、ポイントは自分の価値観との闘いかなぁという気がしました。私たちは「こうありたい」とか「こうあらねばならない」と思うことがあるわけですが、その気持ちが強ければ強いほどこだわりになります。そして、こだわりが強い人ほど、完璧をめざそうとすると、それはできることではないので、気持ちが落ち込むなどの生きにくさが出て来るんですね。
 だから、自分の中にある「こうあらねば」という枠組みを外していくことが、ラクに生きていくには大事です。たとえば夕飯は6時と決めていても、帰って来るのが遅ければ7時になるかもしれないわけで、「ねばならない」と思うと窮屈なので「まあいいや」と思えるといいですね。
 そして、「こうあらねばならない」という枠の中に、「人にものを言ってはならない」というのがある気がします。自分を表現することは嫌われること、人が離れて行ってしまうことは恐ろしいこと、と思われているかもしれませんが、枠を広げていくなかで「言わなければならないこともある」というのも加えてもらえればと思います。
 それと、相手とうまくいってる時はよく話をするんだけれど、うまくいかなくなると「言っても仕方がない」と思って話もしないし、相手の話も聞かないんですね。でも、つきあいが深くなったからこそ、言わなければならない場面も出てくるので、そういう場合には率直に話し、その後に相手がどう感じているかを聞いてあげること。そうすれば、気まずくてもそれなりに話し合いは進むんじゃないでしょうか。

(実施日 2000年7月8日)


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