そもそも、なぜお産塾を始められたのでしょうか。また、自分の体を知ることは、自分らしい出産や子育てを楽しむことにどのようにつながっていくのでしょうか。
「十人十色のお産塾」を始めたのは、病院の出産勉強会がおもしろくなくてあまり役に立たないという声を耳にしたのがきっかけです。出産に対する不安の方が大きくなって楽しみにつながらない場合が多く、出産がゴールになってしまってその先の展望を持ちにくい。だから、もっと出産を楽しみにできるような勉強会ができないかなと思ったんです。
自分の体をよく知り、妊娠・出産について詳しくなることによって、赤ちゃんは自然に生まれてくるものであり、女性は自分で産む力を持っていることに気づいていきます。そうすると、自分はどういう出産をしたいかを考え、決めることにつながっていくと思うんです。病院で出産する場合でも、知識があれば「自分はこうしたい」と申し出ることができます。
そして、自分で決めた出産であれば、自分の力でがんばろうという気力がわき、出産や子育てを楽しみにすることができるのではないでしょうか。妊娠中の健康管理にもより主体的になり、私のところに定期健診を受けに来るお母さんは、「歩くのが足らないかな」と自分から言い出される場合が多いですよ。
自分で決めた出産を実現することによって、「自己実現」の楽しさを味わうことができます。自己実現の楽しさを知ると、人生観が大きく変わり、子育てを含めて自分らしさを大切にした人生にしようという意欲がわいてくるのではないかと思います。「十人十色のお産塾」から発展した「あいるの会」(※2)という女性たちの交流の場があるんですが、そこに集まってくる人たちは、きっとそんな思いでいるのではないでしょうか。
※1 十人十色のお産塾
母体のしくみと妊娠・出産について学び、自分に合った出産プランを考える5回連続講座。それに加えて夫対象の講座も1回開催。名古屋市にある前田助産院内で年に5〜6回開催するほか、希望に応じて出前講座も開催。
※2 あいるの会
「自分らしく生きるために、自分で自分のことを決めよう」をモットーとする女性たちの交流の場。前田助産院「トトロホール」を活動拠点に、おしゃべりを楽しむティータイムや操体法・マタニティヨガ、子連れで学べるアロマテラピー・英会話などの教室を開催。「あいる」は「I
will」から命名。
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