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親がわが子の習いごとや早期教育に熱心になる一方で、子どもはそれをどう受けとめているのだろうか。どの親も「子どものため」「子どもがやりたがるから」という理由で、習いごとや早期教育を始めるはずだが、それがいき過ぎると子どもや親子関係に悪影響を及ぼし、対応に困ってカウンセラー(臨床心理士〔※〕)に相談するというケースも生じる。
名古屋市瑞穂区で心理相談室「こころ」を開業するカウンセラーの定森露子さんは、児童相談所に勤務していた経験もあり、これまで多くの子どもやその親と接してきた。その定森さんに、心に変調をきたした子どもと親の実状やそれへの対応、そして習いごとや早期教育にとらわれがちな親へのアドバイスなどをうかがった。
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定森さんがこれまで接してきた子どもたちには、どんな変調が見られるのだろうか。
「しゃべれなくなる、自分の髪を抜いてしまう、学校をいやがる、拒食・過食などさまざまで、小さい子ほど訳のわからない行動をとります。確かにその背景には、親が無理に塾などに行かせていたりするケースもありますね。子どものそうした行動は、親を困らせることで訴えているんだと私は見ています」。
一方、そういう子どもの親はどんな様子なのだろうか。
「お母さんたちは子どもの表情や動作をちゃんと見ていなくて、子どもが習いごとなどを楽しんでいるかどうか、わかっていないようですね。子どもは親にやれと言われれば、イヤでも親の前ではニコニコしてやることがあるんですが、その反応はどこか表面的だったりするんです。でも、お母さんの気持ちに余裕がないとそれに気づかないんですね」。
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こうした相談者の状況を聞くと心配になってくるが、「相談に来る段階でいい方向に向かっているんですよ」と定森さんは言う。なぜなら、相談するのは子どもの変調に気づいて迷ったり悩んだりしているからである。それに対してカウンセラーは、悩む背景を相談者自身が整理できるように、心という観点から働きかけて援助していく。
最近、カウンセラーの存在が身近になったのか、定森さんへの相談も増えているという。その理由のひとつには、身近に相談できる人が減っているということがある。親しいはずの友人に対しても「こんなことを相談したら悪いのでは」と遠慮したり、頼りにすべき年長者とは昔と比べて価値観の世代間ギャップが広がったため、アドバイスが参考にならなかったりという状況がある。
また「心の器の壁」が薄くなり、ちょっとしたことを大きな衝撃として感じてしまい、つらさや悩みをためる力が弱くなったこともある。その結果、目の前で大変な事態が起きても心にシャッターを下ろしてしまい、悲しい・つらいと思わないようにしようとする心理も生んでいる。
「同時代を生きる人どうしの気楽な集まりがもっとあるといいと思います」と定森さん。
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