PROFILE 蓮舫 (れんほう) 1967年、東京生まれ。キャスター・ パーソナリティ・中国文化スペシャリスト。 88年、第15代クラリオンガールに。 90年青山学院法学部卒業。 テレビでキャスターとして活躍した後、 95年から97年まで中国・北京大学へ留学し、 中国の政治・経済・文化を勉強。帰国後、 97年4月に双子を出産。育児と同時にテレビ・ ラジオ・イベント・執筆などで活動を再開。 |
ベビーシッターは元保育士の男性で、主人の友だちなんです。彼は基本的に私と考え方が似ているし、子どもたちもなついてる。いろんな子を見てますから、私たちより子どものことがわかっていて、彼の判断やアドバイスは正しいですね。 主人が協力的なのは、ひとつは2人で中国に留学しながら妊婦生活を送ったので、妊婦の苦しみを昼間も見ていたからだと思います。もうひとつは双子だったこと。私が24時間ミルクをあげたり、おしめを替えたりする姿を見たら参加せざるを得ない。そして一度、子育てしてみるとその面白味がわかる。 父親に子育て参加をしてもらうには、知恵が必要かもしれませんね。私の友だちの中には、子どもが描いた何でもない絵を夫に見せて、「今日、パパをかいたの。あなたも絵が好きだったからね」とか言ってホロッとさせ、その気にさせた人もいる。そうやって何らかの方法で父と子の接点をつくってあげないと、夫婦間の言葉の応酬だけではダンナさんは動かないでしょう。 |
子どもは自分で遊び方を開発していくので、大人はそのきっかけを与えてあげればいい。絵本なら最初は私が読んであげたり、道具を与えるなら、例えばハサミの使い方や怖さを最初に教えて、あとは好きに遊ばせる。公園に行った時には、小さなことも見逃がさないように子どもをしっかり見てますね。子どもが泣いて来たときに、子どもの思いをちゃんと理解してあげたいですから。ほかの子との間で物を取ったり取られたりという時は、しばらく様子を見るようにしています。 また子どもとの会話も大事にしていますね。私が出かけようとすると「行かないで」と泣くんですが、その時は「ママはお仕事をしてお金をもらう。お金をもらうと何ができるの?」と問いかけて、子どもにわかる表現で話をすると理解してくれる。子どもは日々成長するので親は知恵比べですが、その時その時、全身全霊で子どもに対応しています。 自分のスタイルを通すのは、中国人の発想だと思います。私は父に、小さいときから1対1の人間として育てられ、自分の意見をちゃんと言うことを望まれたし、外食に行くとき「何が食べたい?」と聞かれて、「何でもいい」と言うと「留守番してなさい」と言われた。だから私も自分の子を、3歳でも一個の人間として見ています。 それに中国人は大家族主義で、みんなに子育てしてもらうというのが基本にある。そうすると子どもは、これをやったら母親は拒否するから、おばあちゃんのところに逃げようとか、いろんな大人の個性を見て知恵をつけ、人間関係を学んでいく。人に預けることに罪悪感や不安をもつ人が多いですが、手放せる時は放した方が母親もラクですから。 |
親同士のつきあいの問題で共通するのは、しつけの違いによる「許せない」という気持ちじゃないでしょうか。もし公園で何かトラブルが起きて許せないと思うなら、子どものためにも公園を代えた方がいいと思う。 しつけの問題で大きいのは、おやつでしょう。自分のやり方と違っても、臨機応変に対応できる姿を子どもに見せたいですね。そうでないと、子どもが「ダメ!今はおやつの時間じゃないでしょ」と言って、ケンカになるから、その場では「もらったお母さんにお礼を言いなさい。お友達と一緒にすわって食べなさい」と。そしてうちへ帰ったら、さっきはなぜいいと言ったかを説明してあげる。逆に、お友達が来たときは「うちでは3時にしかあげてないから」と言えばいいわけです。 自分が生理的にガマンできないとか、子どもを説得できないなら、そういうつきあいはやめていいんじゃないですか。大事なのは、ガマンするキャパシティを自分で決めることですね。そのキャパを決めないとズルズルと妥協を強いられるし、自分がやろうとしていた子育ての軸がブレちゃって辛いですから。 |
●取材日/2000年7月5日 |
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