あのねっとリポート 1
石坂啓さん、クニ河内さんら
を迎えた子育て公開トーク。
 漫画家の石坂啓さんと、音楽家のクニ河内さん・野田美佳さんを迎えた子育て公開トーク「子育てに心のゆとりを」が1999年11月27日、名古屋市東区のテレピアホールで開催されました。講演に耳を傾け、後半のコンサートには子どもたちも参加。親子で楽しんだ公開トークの様子をご報告します。
 第1部「子どものこと・マンガのこと」
 ―石坂啓さん講演のあらまし―

 私は家の近くの幼稚園ののんびりした雰囲気が気に入り、自分の子を1年間通わせたこどがあります。でも、園児たちはみんな受験塾通いなどをしていることがわかり、その疲れてぐったりした姿が、のんびりしているように見えたんですね。また今の公立小学校は楽しくなさそうだし、大学まで気楽に過ごせるなら、私立の受験もいいかと思ったけれど、通わせた受験塾では子どもが病気になるほどの勉強を奨励され、1カ月でリタイヤしてしまいました。
 小学校で勉強することを幼児期にやる必要はないし、むしろ幼児はその年齢なりの一つひとつの段階を経て、成長に必要なものを蓄えていくんだと思います。だから他の子と比較して成長を急ぐのは意味がないことで、そもそも「未熟だから成長するようにしつけなければ」と早期教育する、大人の考え自体が不遜だと思います。
 早期教育の過熱は、教育産業市場の対象が低年齢化していることに起因しているから、親は育児雑誌などに惑わされない方がいいですね。また母親が孤立したり、子育てが自己表現の場、つまり子どもが自分の作品になってしまうというような、母親の焦燥感・閉塞感はあまり理解されていないと思います。
 マンガ家は締め切りが迫るとケバケバしてしまうので、赤ん坊を育てることと週刊誌の連載は両立できず仕事を休みました。赤ん坊は見ていて面白かったし、子どもがいる生活も楽しいと思いました。その間に、新聞の連載「赤ちゃんが来た」を書かせてもらいました。
 私の夫は、子どもを背負わせようとしても体をかがめず、「斜めになって」と言ったら横に傾く人なんです。ミルク作りを頼んでもヤカンいっぱいの水を沸かし、できあがった頃には子どもは寝ている始末。言わなくても察しがつきそうなことをしてくれず、イライラをため込んだこともありました。子育てに対する男女の意識に差があり、そのしわ寄せが女性に来るというのが現状で、夫婦がその場その場で折り合いをつけていくしか、解決策はないようですね。
 小さい子どもが何かを伝えようと、持てる言葉で精一杯に表現する姿は魅力的で、そこに子どもなりの知恵や工夫・切実さがあると思います。だから大人の価値観で計らず、子どもの感性を大事にして、たくさんムダなことをさせるという見方をしたいし、親も子どもと過ごすことを楽しんでほしいですね。そして少しずつでも社会を変えていけるよう、力を合わせて理解を求めていくことが必要だと思います。(文責:編集担当)

 第2部「クニさんとタノシックコンサート」

 クニ河内さんは「ピッカピカの一年生」など数多くのコマーシャルソングを作り、またNHKの幼児番組「うたってゴー!」などの司会も担当するなど、作詞・作曲からピアノ演奏まで多彩な音楽活動を続けています。 公開トークでは、マリンバ奏者で妻の野田美佳さんと2人で、「おんぶの歌」や「あいあい」など10数曲の演奏と歌を聴かせてくれました。
 途中、クニさんがステージの中央に立ち、「5人の家族」を歌いながら手遊びを始めると、会場の子どもたちもクニさんのコミカルな動きをまねしながら、楽しそうに歌う場面も。 また「私たちはボケと大ボケのコンビで突っ込みがないんです(笑)」という、ほのぼのとしたトークでは、2人の間に9カ月の赤ちゃんがいることを紹介。そして「うちは、オムツ替えにしても誰かのくしゃみ一つにしても、全部歌にして子どもと一緒に24時間ミュージカルを楽しんでいます」と日頃の子育てぶりを話してくれました。

あのねっとリポート 2
みなさん!ご覧になりましたか?
テレビ番組
「パパ・ママ必見!
男の育児はやめられない!?」
 2000年1月8日(土)の午前10時55分〜11時25分まで、東海テレビで「パパ・ママ必見!男の育児はやめられない!?」が放映されました。愛知県児童総合センターでは、児童環境づくり事業の一環として、テレビ番組を制作・放映しています。今回のテーマは「家族」で、構成の中心になるのは「夫の育児」。テレビでおなじみの松居直美さんと高山知浩さんが進行役を務め、4組の家族を夫の育児を中心に紹介し、作家の鈴木光司さんにも子育て体験を語っていただきました。「育児を手伝えるということは子どもの成長過程を見れること。こんな面白いことはない」という高山さんの言葉が心に残りました。また4組の家族の個性が表れた、共感できるアットホームな番組だったという評判ですが、みなさんはいかがでしたか。


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