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ファミリー・フレンドリー企業 丸栄百貨店 |
常時20人が育児短縮勤務 |
子どもを産んでも仕事を続けたい人にとって、職場の子育てサポートは不可欠である。丸栄百貨店は、早くから育児支援制度を導入している企業のひとつで、ファミリー・フレンドリー企業(※)の認証を受けている。 丸栄では、常に全女性従業員の1割弱にあたる20数人が育児短縮勤務をしている。入社9年目で売り場担当の伊勢万由美さんもそのひとり。2002年5月に出産して約1年間の育児休業を取り、復帰後は保育園に子どもを預けて、午前9時50分から午後4時50分まで働いている。 伊勢さんは「子育てに専念するか、仕事を続けるかで悩みましたが、働くのが好きですし、先のことを考えて頑張ろうと思いました。育休中には、子どもとゆっくり過ごすことができました。人事課からのアドバイスや家族の協力もあるので、仕事と子育ての両立は案外大丈夫ですし、今の生活は充実しています。子どもに会うのが楽しみで、毎日、保育園まで走って迎えに行くんですよ。2人めができたときも制度を利用したいと思います」と話す。 |
伊勢さん |
確実な復職に向けてバックアップ |
丸栄では、子どもが1歳になるまで、有期雇用のパートタイマーを含めて男女とも育児休業制度が利用できる。多い年では10人以上、現在は4人の女性従業員が利用している。また、育児短縮勤務制度は、適用される従業員の9割が利用し、さらにその9割が小学校入学まで継続利用している。 人事課の河村ふさ子課長は「従業員から妊娠の報告を受けると面談を行い、出産後も仕事を続ける意思を確認したうえで、確実に職場復帰できる方法を一緒に探ります。復帰後にひとりで頑張りすぎることのないよう、保育園の情報収集や協力者の確保などをアドバイスしています。準備をしておけばそれほど心配することはないですし、復帰後も生活パターンができれば会社に来るのが楽しくなるようですよ」。 復職に向けては、心の準備ができるよう、あらかじめ職場の現状などを書面で伝えたり、直前に面談を行ったりしている。夫の転勤や協力者の病気など、やむを得ない事情のある場合以外は全員が復職している。 また、復帰後には職場仲間の協力も重要になってくる。短縮勤務や保育園への急な迎えなどで抜ける時間を、カバーしてもらう必要があるが、その際には日ごろの勤務態度や人間関係が生きてくる。 |
河村課長 |
モデルが身近にいれば、あとに続ける |
丸栄の従業員は、女性が半数以上を占める。「出産で退職してしまうのは惜しい」との考えから、1974年に育児休業制度を、1992年に育児短縮勤務制度を導入し、規程内容も従業員のニーズに合わせて決めている。短縮勤務制度の導入を機に、仕事と子育てを両立する女性従業員が飛躍的に増えたという。 企業風土や制度の意義について、河村課長は「転勤がなく、アットホームな職場環境なので、制度が根付きやすかったのかもしれません。身近に利用者がいれば、モデルとしてあとに続くことができ、利用者が途絶えなくなります。人事のやりくりは大変ですが、女性の立場からすれば、一度経験して自信ができると、2人、3人と出産しようと思うのではないでしょうか」。 男性従業員の育休取得はまだ例がないが、河村課長はこう語る。「もちろん取りたい人がいれば応援しますが、育休後に企業戦士に戻ってしまう例を見ると考えてしまいます。当社の場合は平日に休めるので、保育園や学童クラブの父母会など、地域活動に積極的に参加する男性はいるんですね。それを考えると、育休取得に躍起になるだけでなく、先の18年を考えて、毎日の生活の中で親の役割を果たすことも大事だと思いますね」。 |
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