あのねっとレポート1
子育て支援の輪を、活かし広げる交流の場

「第2回子育てフェスタ
in あいち」開催。
〜つなぎあおう! 人・情報・役割を!〜
 

 ウィルあいちで、2003年11月15日開催された「第2回子育てフェスタ in あいち」では、30を越える民間・行政のパネル展示、10の分科会、さまざまなイベント等が行われました。主催は子育てフェスタ in あいち実行委員会と子どもの虐待防止ネットワーク・あいちで、後援は愛知県と名古屋市。その中から、分科会4を紹介します。

●分科会4
【子どもの生活の立て直しをサポートするには】
〜テレビ・ビデオ視聴から 生活リズム、コミュニケーションまで〜


 分科会の趣旨は、最近の子どもたちの生活では人間本来のリズムが崩れてさまざまな問題が起きているのに、親はそれにあまり気付いていない現状を考えてみようというもの。まずビデオ「2才まではテレビを消してみませんか」(NPO子どもとメディア制作・著作)を上映。内容は「小児科医によると、視線が合わない、呼んでもふり向かない等、人と上手に関われない子がこの5年間で急増。誕生時からテレビ、ビデオ等に長時間接していると、心と脳の発達が心配される。子育ては大変だけれど、少なくとも2才までは思い切ってテレビ・ビデオを消して子どもとの時間を持ちませんか」。また親子教室の現場から樽田まゆみさんが、保健師の奥田純子さんが、養育里親の瀬戸口やゑこさんが事例報告をされました。テレビを見ない時は消すなど生活にメリハリをつける。言葉が分かるようになったら、子どもに行動の予告をして時間に余裕がある生活をすることが大事とアドバイスも。コーディネーターの伊藤一美さん(子ども&まちネット名古屋)は「親は食事は気にしても、睡眠やテレビ等の問題はまだ軽視している。今後はみんなで考えていかなければ」と締めくくりました。
愛知県助産師会の出産劇
分科会4【子どもの生活の立て直しをサポートするには】

あのねっとレポート2
「みんなで子育て!楽しく子育て!」をテーマに

第3回少子化対応推進全国フォーラムinたかはま」が開催されました
 

 2003年11月1日・2日に高浜市で、「第3回少子化対応推進全国フォーラムinたかはま」が開催され、基調講演、シンポジウム、分科会等が行われました。現在の急速な少子化に対応するには、子育ての喜びが実感できる社会を実現することが必要。そのためには、行政・企業・地域社会が一体となって取り組むことが求められています。
 開会式では、高浜市長・森貞述氏、愛知県知事・神田真秋氏、厚生労働省大臣官房審議官・北井久美子氏のあいさつがあり、基調講演の講師は、シンガーソングライターの平松愛理さんと、恵泉女学園大学教授の大日向雅美さんが務められました。おふたりの講演をレポートします。

●基調講演(I) 会場: 市民センターホール
平松愛理 シンガーソングライター
「子どもと一緒に見つけたもの〜 不安を希望や笑顔にかえて〜」


 イエローのスーツでにこやかに登場された平松さんのお話は、一人娘で小学2年生の初一音(ハイネ)ちゃんのことから始まりました。
 初一音という名前は、彼女の産声の初めの一声から名付けたんです。子育ては、ポジティブな気分やネガティブな気分をいろいろ背負っているけれど、どうせするなら、子どもからの学びとして見直してみませんか?私は、子宮内膜症や乳ガンで14年間に8回の手術を受けてきましたが、奇跡的に娘を授かりました。だから娘にとって、ママは生まれた時からずーっと病気。これって、とてもネガティブな話でしょ?でもガンになって音楽休止宣言をしたおかげで、働くママと専業ママの両方を体験できました。仕事をしていた頃は、親としての時間が無くてイライラし怒り悩む。休業してからは子どものそばに居すぎてイライラし怒り悩む。結論として、働くママにとっても専業ママにとっても「子育ては至難のワザ」だと思います。
 そういうイライラ度数を減らすために、時間をやりくりして「まるごとタイム」をつくろうではありませんか?他の事はいっさいしないで、子どもと一緒に何かに集中するという時間。私の家では「カレー作り」をまるごとタイムに充てています。ふだんは、やりたいと言われてもなかなか任せられませんが、この時はジャガイモの皮をむいたり、サラダやデザート作りまで初一音と一緒にやります。「いただきます」の頃には、私のストレスも吹き飛んでいます。この「まるごとタイム」は、子どもに約束したら必ず実行してくださいね。
 もうひとつ私が大切にしているのが、記録することです。生まれた時から、ルーズリーフに「初一音ちゃんの一日日記」を付けています。ガンの再発におびえる毎日ですが、読み返すと感動しますし自分の再発見にもなります。初一音が生まれた日、点滴のせいで両手がふさがり抱きしめられないので、かすれ声でハッピーバースデーを歌ってあげたんです。それまで激しく泣いていた初一音が、それを聞いて泣きやみ、歌をきいていたんです。母親の声と心が確実に伝わったんだと、感動したことを思い出します。
 子育ては、親がひとりの人間として学べるチャンスだと思います。満点の子育てはありません。自分流の子育てを見つけていきましょう。
平松愛理さん
●基調講演(II) 会場: 豊田自動織機高浜工場ホール
大日向雅美 恵泉女学園大学教授
「『子育て』をみんなで応援する社会づくり」


 最近の子育て事情には厳しい現実があります。少子化が進み、その背後には急速に深まる子育て困難現象があります。そんななかで、市民と行政と企業が一体となって本当に心ある子育て支援を行うには、どういう心構えが必要なのでしょうか。
「今どきの親は…」という批判からは何も生まれません。そういう批判は大正時代からあり、ひとりで育児をするお母さんが出始めた時期と重なります。つまり、お母さんへの批判は、お母さんの育児負担の大きさを表していると考える必要があります。また、「子育てがつらい」と訴える親たちの生活実態に、率直に目を向けることも大事です。
 お母さんの悩みや苦しみは、置かれている立場によってさまざまです。特に専業主婦の人が育児につらさを感じていて、「こんなはずじゃなかった」と嘆いています。「ひとりでトイレに入る時間もない」「悩みを話す相手がいない」「社会から取り残されるような焦りを感じる」「パーフェクトママをめざして苦しくなる」などがその理由です。一方、働くお母さんは、仕事と子育ての両立に苦しんでいます。保育園のお迎えや子どもの病気のために、ほかの社員のように働けない肩身の狭さ。「子どもがかわいそう」という声がそれに追い打ちをかけます。
 これに対して夫は、妻が専業主婦でも共働きでも、1日の家事・育児時間はわずか10分台、育児休業取得率は0.33%と低いのが実像です。男性の言い分は「本当は育児をしたいが職場環境が厳しい」「なぜ男が育児をしなくてはならないのか」のふたつに分かれます。職場環境が厳しいなかで男性が子育てに関わるのは難しいですが、せめて「育児は母親の仕事」という考え方をやめて、妻の悩みとしっかり向き合ってほしいと思います。
 また、子育てのマニュアルを欲しがる親を批判する声がありますが、そういう世代を育てたのは50代から上の私たちです。効率優先の企業社会の論理を学校や家庭に持ち込み、子どもから「伸びやかな子ども時代」を奪ってしまったんです。そして、子育ては暮らし・文化なんですが、子どもに暮らしを伝えることを忘れてしまった。子育て支援とは、親を育てること。親が親として育つことが、今いちばん大切なことです。
 子育ての問題をクリアするには、お母さんひとりの「孤育て」から、みんなで支える「子育ち」へと、発想の転換が必要です。母親の社会参加、男性の家庭参加をもっと支援し、「子どもは地域のかすがい」という発想の子育て支援に変える必要があると思います。お母さん自身も自助グループやNPOを運営し、ネットワークをつくり、行政と連携して地域の子育て力の回復をめざす活動を各地で展開しています。こうした動きを定着させるために、男性も地域も企業も連携する時期に来ています。明るい希望を持って、子育て支援を通して社会を変えていきましょう。
大日向雅美さん

気軽にご利用くださいね!
時間外電話相談
育児もしもしキャッチ
夜間に、育児相談や母と子の健康に関する相談を、 専門相談員がお受けします。
●受付/月〜金曜日(祝日・年末年始を除く)  午後5時〜午後9時
●専用電話/0562・43・0555
●相談をお受けするのは/あいち小児保健医療総合センター