みんなの・しゃべるーむ
子育てを楽しめないのは、なぜ?
ケース1
子育て真っ最中の時期は、とても楽しむゆとりなんてない。楽しめる人もいるようだけど、楽しめる人とそうでない人の違いは何?
編集部
最初にお子さんの学年・年齢をご紹介いただき、続けてケース1についての考えや体験をお聞かせください。
服部さん
私は小学4年・2年・3歳の子どもを持っているんですが、2人目までは子育てがつらいなと思っていました。最初は赤ちゃんに触るのも初めてなので不安や心配ばかりだったし、育てなければと意気込んだり理想の親を追いかけたり。暗闇の中で手探り状態だったんですが、そこに光が見えたのは、私があたふたしても子どもは日々成長していると気づいたときです。ただ、そう気づいたのは通 り過ぎてからで…。
今は、いろんな親がいて当たり前、子どもは育てるものではなく育つものと思えるようになりました。一番下の子は少し年齢が離れているせいか余裕を持って見られるので、やることなすことかわいく感じています。
落合さん
5歳と3歳の子どもがいます。私はできるだけ家事の手を抜いて(笑)、ラクをしようと思ってやってきました。子どもが小さいうちは、多少割高になっても宅配の食材を使い、買い物に行く手間を減らして子どもと公園に行くとか、部屋が散らかっていても気にしないとか。それを自分でも許して、家族にも協力してもらうようにしました。
そうして、なるべく子どもと遊ぶようにしていると楽しく過ごせると思います。もし、楽しめる人とそうでない人がいるとしたら、ラクができる人とできない人の違いではないでしょうか。
樽田さん
中学1年・小学5年・6歳の子どもがいます。1人目のときはほとんど子育てに関わらなかったんですが、2人目・3人目ができ妻が仕事を持ち始めたこともあって、私もだんだん子育てをするようになりました。最近、だいぶ子育ての難しさや楽しさがわかってきたところです。ゆとりは、お母さんひとりで育てるよりは夫婦で、さらには地域の人やいろんな方々とふれあうなかで、生まれてくるのかなと思います。
妻からすると、仕事を持ちたいと思っていたときに、3人目の子をゼロから育てなければいけなかったので、かなりストレスを感じていたようです。子育てのことで夫婦ゲンカをすることは日常茶飯事なんですが、お互いに本音を言い合うとある程度は心の整理がつくし、自分の気持ちを相手に伝えたということで、気持ちの切り替えができる面 はありますね。
落合さん
私も遠慮せずにケンカをする方で、まったくそのとおりですね。ケンカというか、ちょっと激しい話し合いという感じで(笑)、つらいですがそういう場面 もあっていいと思います。
山本さん
よく話し合うなど夫婦が精神的に支え合うことは大事ですよね。夫に子育てを手伝う時間があまりなくても、ふたりで子育てをしているという意識が持てている家庭では、育児不安が少ないんです。
ゆとりがなくなる要因のひとつは、いい母親にならなければと肩に力が入りすぎてしまうことだと思います。また、小さい子どもに「きれいに食べなさい」と言うなど、無理なことをさせようとしてできないことにイライラして、ますますゆとりが持てなくなってしまう面 もあります。私は、子どもがこぼしても気にならないように、床に新聞紙を敷いて食べさせていました。
親も人間ですから自分の時間が必要ですし、子育てに失敗はつきものではないでしょうか。だから、「物より人を優先」という考え方で、家の掃除よりも子どもと一緒に遊ぶとか、子どもは言うことを聞かないものと割り切ることも必要でしょうね。「どうしても小言を言ってしまいそうなときは、その場から消える」というお母さんがいましたが、特に専業主婦の場合は1日中子どもと一緒なので、時間を区切るのもひとつの方法ですね。
子どもは感動を与えてくれる。
ケース2
大変な子育てのなかで、ふと「子育てっていいな」と感じることがある人もいる。どんなときにそう感じるのだろう?
落合さん
子どもって、不思議なことを言うのでおもしろいですね。バーッと走ってきて「ママのこと、大好物だから」とか(笑)。『さるかに合戦』を読んで、「カニはハサミを持っているんだから、おにぎりをハサミで半分こすればよかったのに」と、大人にはできない考え方をしたり。
私はそういう子どもの言葉を残しておきたいと思って、時間をみつけてはパソコンで文章にしています。書くことで癒されるし、投稿して賞をもらったりすると、世間から認めてもらったような気がして…。だから、子どものケンカから何からすべてがネタになるという感じで(笑)、楽しんでいます。
服部さん
私は、子どもの成長が見られたときにとてもうれしさを感じます。特に1歳までは、昨日できなかったことが今日はできたりするので、見ているだけで幸せという感じ。また、いつまでも子どもだと思っていたら言葉でやり返されることもあります。今日は私が出かけるときに、3歳の子が「私がお兄ちゃんとお姉ちゃんの面 倒を見てるから、ママ行ってらっしゃい」って送り出してくれたんですよ(笑)。
樽田さん
だいぶ前のことですが今もよく覚えているのは、私が朝仕事に出かけるときに、一番上の子がハイハイでエレベーターホールまで追いかけてきた姿ですね。子どもを持った幸せを感じたのと同時に、後ろ髪を引かれる思いで仕事に行きました。
いま一番下の子とは、しりとりをよくしているんですが、大人とは違う発想で言葉が出てくるのがおもしろいですね。夜は本を読むようにしていて、私自身が好きな乗り物の本や、男性の低い声で読むと喜ぶ本、父親が題材になった本を中心に読んでいます。ふだんは手にしない絵本のことを知るのは、子どもがいるからこそですね。
真ん中の子とは、スキー大会のジュニア部門・40代部門にそれぞれ出場して競い合ったり、家では将棋の対戦をしたり。親子で同じものを通 して遊ぶのは、貴重な経験だと思います。近所の子ども同士でスポーツ大会に参加するときには、付き添う父親同士が顔なじみになれるのもいいですね。
服部さん
私の夫も、上の2人を連れてクラッシュギア大会やベイブレード大会に行くんですが、親も一緒に夢中になってやっています。