みんなの・しゃべるーむ
ケース3
親離れ・子離れって意識的にすべきことかどうか。それよりも十分甘えさせる方が自立していくのだろうか?
精神的な自立は、親子バトルから。
編集部  ケース3については、どのようにお考えでしょうか。

大薮さん  2年生の上の子はひとりで電車に乗って習いごとに行っています。中学生になっても親が車で送り迎えをしている人もいるんですが、私は子どもをひとりで電車に乗せることも、親離れ・子離れの大事な経験ではないかと思っています。また、スキンシップは親離れさせる上でも必要だと思うので、いくつになっても子どもが「抱っこして」と甘えてきたら、こちらの体力が続く限り抱っこしてあげたい。甘えるのは、親に何かを求めているということなので、それを受け止められるように日頃からゆったりと子育てをしたいと思っています。

近藤さん  意識的な親離れ・子離れと言えるかどうかわかりませんが、私がパートに出るようになったので、保育園のお迎えを同居している夫の母に頼んでいます。パートを始めてまだ1カ月ぐらいなので、お迎えのときに泣いているみたいですし、私が家に帰ると走り寄ってくる状態です。上のふたりは、学校から帰ったときに「宿題は?」とうるさく言う人がいないので、のびのびしていますけど(笑)。

高橋さん  十分に甘えさせて自立させるのがいいと思いますが、子どもたちが小さい頃は仕事に家事・子育てとバタバタしているうちに過ぎてしまい、その余裕がありませんでした。でも、いま抱っこしてあげようかと言っても逃げていってしまいますから、やはり小さい頃にもうちょっと甘えさせてあげればよかったなと思います。

伊原さん  小学5・6年生になるとキャンプや修学旅行などの学校行事があるので、それまでに自分のことができるように、というのが目標です。たとえば、早く着替えないとみんなに迷惑がかかるなと気づけるような環境を、今から少しずつ整えてあげたいと思っています。

丸山さん  託児者であったときに体験したのですが、知らない人に突然預けられて、はじめは泣いてる子も慣れてきて泣かなくなったり、平気な子もいました。私が理事長を務めている「まめっこ」の親子教室では、お母さんだけで話し合う時間を設けています。そのときには親子同室なのですが、子どもそれぞれの気持ちに沿って託児状況をつくります。幼児期においては、子どもにとって「困ったらお母さんが助けてくれる」と安心できる環境をつくり、それから徐々に親と離れる経験をさせていく方がいいと思っています。  そして、皆さんにも覚えがあると思いますが、精神的な自立は子どもの頃から日常生活のなかで、小さな反抗や自己主張を繰り返しながら進んでいきます。だから、親はそれぞれの場面 で、これは認められる、これは認められないとバトルをしながら、子どもの自立を支えてあげることが必要です。特に、大人になってきちんと「ノー」が言えるように、小さな子どもが親に「ノー」と言ったときには大事にしてあげたいです。  また、甘えさせることについては、大人でも甘えたいと思うときがあるわけだから、子どもの甘えも受け止めてあげたいですね。そして、お母さんも夫や他人に「助けて」「話を聞いて」と甘え、受け止めてもらうことが必要だと思います。
ケース4
親世代自身が祖父母世代と親離れ・子離れしていないことが問題になってきている。これは子ども世代にどういう影響を与えるのか?
親自身が親離れしてない!?
編集部  皆さん自身の親離れに関わるケース4についてはいかがでしょうか。

伊原さん  私はよく実家の母を頼り、「お昼ごはん、ごちそうするから」と誘い出して、子どもの面倒を見てもらっていました。でも、少し前に妹から「お姉ちゃんはいつもお母さんをあてにして! 自分の都合で出かけるなら自分で責任を持ちなさいよ」と言われて…。改めて私自身の親離れを考えるきっかけを与えられ、今後は自分で子どもの面 倒が見られない外出はひかえようと思いました。

高橋さん  双方の両親が名古屋市内に住んでいて、特に自分の親には頼ってしまうことがあります。母親の方からも「話を聞いて」とよく誘われ、仲がいいというか頼り合っているというか…。

近藤さん  夫の母が最近定年になり、女が家にふたりいると難しい面も出てきたんですね。子どもにはそういう姿を見せたくないので、思い切って私がパートに出ました。それがきっかけで母に感謝できるようになり、そういう環境から子どもに何か伝わればいいなと思っています。

大薮さん  私は自分の母と同居していて、精神的にも経済的にも助けてもらい、子育ても助けてもらっています。今はまだ私自身が親離れしていないような状況で、それを子どもたちが見ていて将来にどう影響していくのかが気になります。

丸山さん  子育てするには、祖父母の助けを必要とすることもあります。その一方で、子ども同士の世界をつくってあげるのも大人の役割だと思います。また、親は自分の生き方をつくっていかねばなりません。子どもたちのためにも、少子高齢化の時代を生きていく親自身が、将来に向けてどういう環境をつくっていくかを考えることが必要だと思います。  私は子どもたちに「あなたがいるだけで、それでいいのよ」と言います。自分の存在が認められれば、子どもは自信を持って生きていけると思います。親として、子どもにどんな言葉を伝えたいかが大切で、それをいつも頭のすみに置いておくと、子育て中に何かアクシデントがあったとき、対処できるヒントになるのではないでしょうか。