専門家に聞きました。
「あいるの会」の自宅出産経験者に聞きました
自然な姿で子どもに接するのがいい。
鈴木緒子さん・樹ちゃん(3歳)

 「十人十色のお産塾」で、前田さんに「自分の性器を見たことがあるか」と聞かれたときは、ちょっと驚きました。初めは病院で産むつもりでしたが、受講を続けるうちに、自然に近い形で産みたい、自分には自宅出産が合っているのではないかと思うようになりました。お医者さん任せではなく、安産のために自分が努力できることがあるんだとわかったし、少しでも楽にお産ができたら子育てもうまくいくんじゃないかと思いました。
 子どもとのスキンシップが楽しめる時間はそんなに長くないと思うと、片時も離れたくないですね。無理していいお母さんを演じるより、自分にとって心地いい自然な姿でいた方が子どもに心が伝わるような気がします。夫は、時間に余裕がないなかで何らかの形で育児に協力してくれますし、私がしていることを認めてくれる姿勢はありがたいですね。夫を巻き込むためには、出産に立ち会ってもらうのはとてもいい方法かもしれません。
 「あいるの会」には、考え方の近い人たちが集まっているので、子育ての悩みも共有できます。また、学びたいことがあるときには知り合いの先生を呼んだりして、子連れで学べる会をいろいろ企画して楽しんでいます。
左から鈴木さん/沢井さん
子どもと一緒に楽しんでいます。
沢井三奈さん・優太ちゃん(3歳)

 自宅出産を選んだのは、自然に近い方法で産みたかったからです。会陰切開だけは絶対にしたくない、人間だって動物なんだから切らなくても産めるだろうと思いました。夫は、家で産むのは不衛生だと思ってずっと反対していたんですが、病院の診断書を見てやっと納得してくれました。でも、出産当日には「前田さんの夜食を買いに行かなきゃ」と言って逃げようとし、前田さんに「そんなのいらないから、ここに座りなさい」と叱られました(笑)。でも、生まれてみたら「よかった、よかった。次も前田さんに」って。私も「一緒に産んだんだ」という実感があり、夫との関係がさらに深くなった気がします。
 1歳までは、夜中の授乳でよく眠れなくて辛かったですし、イライラすることもありました。一緒に出産したから、夫はもっと育児をしてくれるだろうと期待が大きすぎ、ぶつかり合うこともありましたね。でも、開き直ったら子どもといることが楽しくなり、今は頭の中が子どもと同じレベルで(笑)、絵本を読んであげていても楽しい。私自身の好きなこともけっこうしているので、満足しています。2人目の出産は少し先にして、今はこの子とのんびり過ごしたいと思っています。
 

妊娠・母乳Q&A

お答えは前田さん


Q  妊娠中をリラックスして自分らしく過ごしたい。どんなことに気をつければいいでしょうか。

A  妊娠は病気ではありません。妊娠しているからこれはしてはいけないという制限は、常識の範囲内ならほとんどないと思います。クラシック音楽を聴かなくてはいけないわけではないし、オカルト映画を見てはいけないわけでもない。考え方ひとつだと思うのですが、「〜しかできない」と制限してストレスをためるくらいなら、「○○もできる。△△もできる」とプラス思考でトライした方がベター。逆に、妊娠中しかできないようなワクワク探し、たとえば自分の体や心の変化を客観的に見て楽しんだりできたらいいですね。

Q  出産後は母乳で育てたいのですが、そのメリットやポイントを教えてください。

A  母乳のメリットは、何よりも「ビタミン愛」。スキンシップが図れ、母としての満足感と子どもの精神安定につながります。そして、安価・適温・衛生的でいつでも授乳できます。ポイントは、何時間おきにと時間に縛られないこと。また、母乳が出ない場合でも、母乳信仰が強すぎるあまり自分を責めるのはよくありません。もし出なくてもすぐにあきらめず、本来は出るものと思って根気よくトライし、助産師に相談してください。