みんなの・しゃべるーむ
子どもと出かける。一緒に遊ぶ。
ケース3
子育てが楽しめるように自ら心がけることも必要ではないだろうか。みんなはどうやっているのだろう?
落合さん  子育てを楽しむ方法として、インターネットは利用しないと損だと思いますよ。私は、投稿もほとんどネットを通じてしていますが、子育てサイトの掲示板で悩みを相談し合ったり、楽しい遊び場やおもしろい絵本の情報も得ています。最近はそれだけでは物足りなくなったので、自分で子育て日誌のサイトを立ち上げ、子どものことやその日思ったことを書きとめています。そうすると不思議と見てくれる方がいて、連絡をもらうとうれしい。小さい子どもがいると「出かけるなんてとんでもない」と思いがちですが、なるべく外に出た方がいいし、ネットもひとつの出口としておすすめですね。

服部さん  子育てを楽しむというのは、子どもと一緒になって遊んで、目の高さを合わせることかなと思っています。私は、児童館や保育園の遊ぼう会、図書館のお話会などに出かけているんですが、お話会では家で絵本を読むのと違って親子ともに聞く側になれるし、私にも読んでもらえるのはちょっとした感動があります。あとは、子どもに対してムキにならないことも大事かなと思います。怒れてくることはあるんですが、「こうしなさい」ではなくて一呼吸おいて言い方を変えてみると、気分的に違ってくる気がします。

樽田さん  実際は難しい面もありますが、男性も子育てを楽しむには、積極的に育児に参加しようといった発想の転換が必要だと思います。父親にとっては、子どもは知らないうちに成長してしまうというのが実感ですし、子どもと関われる時期はある程度決まっています。だから、あとで後悔しないように、自分の人生で何を大事にしたいかを考えておく必要があると思います。

山本さん  男性も子育てを経験すると、商品の企画など仕事に生かせる面 もありますから、企業はその点を理解して男性も子育てに参加しやすい環境をつくってくれるといいですね。また、先ほど服部さんが「ムキにならないこと」と言われたように、自分なりの怒りのコントロール方法を身につけることは必要かもしれません。
 ここにいる皆さんは実践されているようですが、親が一緒に楽しんでいる姿を見て子どもも楽しめると思うので、「子どものために」と思い詰めるのではなく、親の好きなことを子どもと分かち合うという考え方も大切だと思いますね。
託児に、子育てサークルに…
ケース4
ゆとりのある子育てをするには、親が孤立しないことが大事だと言われている。具体的にはどうすればいいの?
編集部  孤立しないためには手助けしてもらうことも必要です。託児もそのひとつですが、皆さんは利用されたことがありますか。

服部さん  私は、今は名古屋市女性会館の「月曜託児」を利用しています。2時間預かってもらえるので、その間に館内の図書資料室で本を読んだり、サークルの打ち合わせをしています。託児者の方が子どものことをよく知ってくれているので、相談もしやすいですね。最近は、講座も講演会も託児付きのものが増えているので、大いに利用すれば楽しいと思います。

樽田さん  夫婦とも、どうしても子どもの面倒が見られなかったときに、妻の実家にしょっちゅう頼るのもよくないと思い、民間の保育施設に預けたことがあります。稲沢では見つからず名古屋まで行きました。特に休日に託児できるところがないですね。

落合さん  私は、買い物に行った先で2時間ぐらい預けたり、コンサート会場で1〜2回託児を利用したことがあります。そういうときには、短い時間離れていただけでも子どもがとてもかわいく思えるものですね。

山本さん  そういう気持ちは、心理学では「ハッピーセパレーション」と言って、いったん子どもと離れてまた会うと新鮮でいとおしく感じるんです。だから、時には子どもと離れる時間も必要ということでしょうね。

落合さん  ただ、託児ができる施設は少ない気がするので、もっと身近な場所にあるといいなと思います。私は近所の図書館によく行くんですが、絵本コーナーもあって小さい子どもがけっこう来ているんですね。そこで、30分単位ぐらいで子どもを預かってもらえると、私も見たい本が見られて助かるのになと思っています。

服部さん  地域のコミュニティセンターの中には、子育てサークルには部屋を貸してもらえないところがあるんです。それに、貸してもらえる場所があっても、その情報が手に入りにくい場合があります。

山本さん  確かに自分から出かけていかないと、情報を入手するのは難しいかもしれませんね。各市町村の役所や子育て支援センター、名古屋市の場合は各区の保健所の子育て総合相談窓口などに問い合わせたり、幼稚園や保育園のプレイルームが空いていれば貸してもらえる場合もあるので、直接聞いてみたり。また、託児施設ではないですが、子どもを預かってくれる人を紹介するファミリーサポートセンターが市町村ごとにできつつあるので、そこを利用する方法もありますね。
 ところで、皆さんは子育てサークルはやっていらっしゃるんですか?

落合さん  サークルではないですが、子どもが生後4カ月ぐらいのときに、保健所主催の「子育て広場」に参加したことがあります。そこで出会ったお母さんたちとは今でもお友だちで、そういう場を設けてもらえてよかったと思います。

服部さん  3人目が生まれたとき、港区の生涯学習センターで3カ月〜1歳3カ月児対象の講座を受けたあと、受講メンバーで子育てサークルをつくりました。子どもが保育園に入っても親同士のつきあいが続けられたらいいなと思っています。

山本さん  子育てサークルはみんなで育て合う良さがありますよね。大人同士の交流もできますし、子どももいろんな人に目をかけてもらうと、みんなに愛されているという自己信頼感が育っていきます。また、年齢が上の子を持つお父さん・お母さんとの交流があると、子育ての見通 しを立てることができますよね。地域には、子育て支援の役割を担った主任児童委員さんがいるので、力になってもらえることもあると思います。
 子育てサークルの情報は、地域の子育て支援センターや児童館・公民館・生涯学習センターなどで得られると思います。最近は、社会福祉協議会にも高齢者だけでなく子育てに関する情報があります。
 私が関わっている「天白子ネット」という子育てサークルのネットワークでは、毎月情報誌を発行して、イベントやファミリーサポート、子育てグループなどの情報を紹介しています。行政と絶えずつながりを持つことがポリシーで、懇談会を開いて要望を出したりしています。一度会っておくと、頼みごとがしやすかったり、子育てサークル同士もお互いに協力し合えるので、積極的に顔をつないでいくことが大事だと思いますね。