アートと遊びと子どもをつなぐメディアプログラム汗かくメディア2021選考結果のお知らせ
愛知県児童総合センターは、屋内型大型児童館として1996年に開館し、常に子どもたちに新鮮な驚きと発見をもたらすあそびの開発を行なってきました。その一環として、開館以来「アートと遊びと子どもをつなぐメディアプログラム」として、アートの視点による新しいあそびの提案を永年、全国公募してきました。一旦公募に区切りをつけ、2019年募集再開を機に、さらに[アート]と[あそび]と[メディア]の原点に立ち返り、子どもたちが新鮮な視点で世界に主体的にかかわり、新しいコミュニケーションや表現を可能にするあそびのプログラムやあそび環境への提案を今後も期待し続けます。
2021年1月15日から3月2日まで『アートと遊びと子どもをつなぐメディアプログラム2021 汗かくメディア』と題し、さまざまなメディア(媒体)による作品の全国公募を行ない、17作品の提案がありました。
審査の結果、下記の3作品を、『アートと遊びと子どもをつなぐメディアプログラム2021・汗かくメディア賞』として選考しました。
選考された作品は、新生「汗かくメディア」として2021年10月中に、愛知県児童総合センターで、子どもをはじめとした幅広い方々が体験できる参加型展覧会として実現します。
うらにわには2わうらには2わにわとりがいる:3D [ 塩谷 佑典 ]
■作品説明
突然ですが、次の文章を読んでみてください。
「うらにわにはにわうらにはにわにわとりがいる。」 …意味を正しく理解できましたか?
答えは「裏庭には2羽、裏には2羽、ニワトリがいる。」です。
このように、「ひらがな」は日本人であれば殆どの人が読めるのにも関わらず、それだけでは非常に内容を汲み取りにくい構造になっています。
この遊びは、そんな「ひらがな」の特性を逆手に取り、上記の文章「うらにわにはにわうらにはにわにわとりがいる。」の中に隠れた「2わにわとり」「にわとり」「2わとり」「はにわ」「わに」「はは」「は」「わ」を発表された文章に従っていちはやく取りあう遊びです。
例えば、「うらにわにはにわ!」という文章が出たら「うらにわ」の「はにわ」を探します。
「うらに2わとりがいる!」という文章が出たら、「うら」にいる「2わとり」を探します。
そうして、最もたくさんのモノを獲得した人の勝ちになります。
■プロフィール
1998年生まれ、愛知県出身。
愛知県立芸術大学大学院 美術研究科 デザイン領域 博士前期課程に在学中。
「遊びから生まれるコミュニケーション」をテーマに、アナログゲームやデジタルゲーム、XRなど様々なメディアでの「遊び」を研究しています。
超けんけんぱ [ 身体企画ユニット ヨハク ]
■作品説明
誰もが子どもの頃にやった「けんけんぱ」。その地面に引かれた印こそ、誰もが同じ動きをしてしまう動きの補助線。これもまた、人の行動や感情を動かしていく仕掛けと言えるのではないでしょうか。その補助線を、ACCにあれこれ引いてみようと思います。その名も「超けんけんぱ」。
参加者は、その場にひかれた複雑な「けんけんぱ」の印から、求められる動きを読み解き、問題を解くように遊ぶことができます。運が良ければ、どこからともなく現れる「けんけんぱマスター」が、美しく、そしてちょっとシュールに「超けんけんぱ」をクリアしていく姿を見られるかも。 私たちは、パフォーマンスをそのまま上演するのではなく、補助線を媒介に私たちの作品に気軽に参加していただくと同時に、たまに現れる「けんけんぱマスター」=お手本の、動きの巧みさに目を留めていただきたい。パフォーマンスが舞台上演の形以外で、パブリックスペースと共存し、遊びとして気軽に参加できる方法を考えました。
■プロフィール
論理的思考を得意とする加藤と、情感や直感を基軸とする秋山の2人による、パフォーマンスを表現手法として作品のつくり方から開発するユニット。2016年3月結成。コンテンポラリーダンスを紙芝居と融合させた「やけに前衛的な桃太郎」、白線渡りをしながら踊る屋外ダンス映像作品「白線の湖」、Excelを用いて舞台上に複雑な動きの交錯を実現させる「スクランブル交差空間」、公共空間に独自のけんけんぱを描きパフォーマーが出現する「超けんけんぱ 」など、形態・メディアを自在に変容させて作品を企画している。
近年では、ワークショップやアートプロジェクトの実施など、状況の設計自体にも積極的に取り組んでいる。
だれかのみた風景をみにいく [ フジマツ ]
■作品説明
「児童総合センターであそんでいると聞こえてくる、だれかが見つけた、どこかの風景の話。それをたよりに、その場所を探しに行ってみよう。」
誰かの視点を追体験することは、新しい見方や考え方を知ることにつながります。新しい視点を獲得することで、自分の世界が少しずつ広がっていくことでしょう。「新しい視点の獲得」をコンセプトに、「だれかのみた風景をみにいく」プログラムを実施します。
どのように「だれかのみた風景」と向き合うかは、聞いた人次第です。どんなふうに「だれかの視点」を楽しむのか、「あそぶ人」にその行き先を大きく委ねることにもチャレンジします。
■プロフィール
近藤令子と松村淳子によるアートプログラムユニット。アートを介してものごとを多角的な視点からみることの楽しさを提案するプログラムを企画運営。中部圏を中心に美術館や博物館などで活動。